しょうあんと日々。 3 MFコミックス キューンシリーズ
著:桑佳あさ
出版社:KADOKAWA
廃墟の島、軍艦島で暮らす硝安ダイナマイトのしょうあん。
かつて沢山の人が暮らした炭鉱の島で生きる、人に憧れる彼女の日々を綴った作品、その完結巻。
登場人物紹介
みーちゃん
灰色と白の毛並みの猫
しょうあんを仲間だと思ったのか、食事(ねずみ)を分けてくれたりした。
可愛い。
あらすじ
好奇心旺盛なうめは観光客と共に島を去った。
再び一人となったしょうあんは、今日も元気に島を探索し石炭を掘る。
そんなしょうあんの前に巨大な獣が現れる。
獣に怯え、吹き抜けの手すりの裏に隠れたしょうあんだったが、足を滑らせ落下してしまった。
この高さではいくら炭鉱爆薬でも助からない。
さくらの様に爆発も出来ず、うめの様に島の外に出る事も出来なかった。
こんな事なら、獣に食べられた方がマシだった。
そんな事を考えていたしょうあんを獣は空中でキャッチし、軽やかに着地。
彼女を地面に横たえるとその頬をペロペロと舐めた。
味見ではと怯えたしょうあんだったが、獣は彼女の体を優しく抱いて丸まり枕の様になって目を瞑った。
コロコロ喉を鳴らす様子に、これはいつか絵日記で見たペットという奴ではと気付く。
しょうあんが恐る恐る「みーちゃん……?」と話しかけると、獣は「ニャ」と短く鳴いた。
感想
炭鉱爆薬の精? しょうあんの日々を綴った作品もこの巻で完結。
今回は猫との出会い、一人と一匹の毎日、そして別れ等が描かれました。
人の去った廃墟の島で一人暮らすしょうあん。
物語、冒頭は寂しいという感情を理解していなかった様子でしたが、この巻ではさみしいと声を上げて泣いていました。
猫が島を去り、また独りぼっちになってしまった彼女。
石炭の需要が無くなり、誰もいなくなった島。
そこで彼女はこれからも、ひっそりのんびり暮らしてゆくのでしょう。
個人的にはうめの様に島を出て、ひっそりこっそり、人間と暮らしている姿も見てみたかった気がします。
まとめ
廃墟には昔から何とも言えない寂しさを感じます。
かつては賑わっていただろう遊園地、緑に飲まれたホテル、展示物の無くなった美術館等。
そんなかつて多くの人が訪れただろう豪華な建築物達。
今は訪れる人も無く、ただ朽ちていくだけの物達。
やがてそれは倒壊し、自然に飲まれて消えていく。
そんな場所の写真を見たり、実際に行ってみたりすると、寂しさと同時に懐かしさや愛おしさの様なモノを感じます。
この作品はそんな寂しさと懐かしさ、そして愛おしさを感じる物語でした。
こちらの作品はComicWallkerにて一部無料で閲覧いただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。