空挺ドラゴンズ 10 アフタヌーンKC
著:桑原太矩
出版社:講談社
クイン・ザザと因縁深い伝説の龍、震天王テュポーン。
そのテュポーンに船を破壊されたクイン・ザザの一行は修理と改良の為、ブルノに協力しクイン・ザザ号の改修が行われている街メロエで最近頻発している降龍事故の調査に協力する事となりました。
事故の原因も解明し、一行はブルノの船、オボロカスカ号の解纜式のパーティーに出席する事となるのですが……。
あらすじ
クイン・ザザの一行はブルノに協力し降龍事故の原因も判明、ブルノにの船、オボロカスカ号の解纜式パーティーに呼ばれる事となった。
乗組員の女性陣もドレスアップしてパーティーに出席するなど、一行はいつもとは違う側面を見せつつ食事を楽しみ、大いに酒を飲んだ。
途中、タキタの言葉でパーティーの料理を作ったシェフと、クイン・ザザの料理人ヨシが龍の尾を使って料理対決するなど、イレギュラーな事もあったが、パーティーはつつがなく進行していく。
そんな中、グラスが空になったヴァナベルは自ら酒を取りに、酒置き場へと向かった。
そこで目的の酒を見つけたヴァナベルは、積み上げられた箱の裏で疲れた顔をしていたブルノに出会う。
どうやら騒がしいのが苦手な彼は、挨拶や接待で疲れ隠れていたようだ。
ヴァナベルはそんな彼の横に座り、履いていた靴を噛ませ酒の栓を抜く。
「はしたないな君は」と声を荒げるブルノに、ヴァナベルは「龍捕りは野蛮なの」と事もなげに返し、そのまま瓶に口を付けワインを美味しそうに飲んだ。
そんなヴァナベルの横顔を見たブルノは、彼女に龍捕りになった理由を尋ねる。
ただの成り行きよ……。
そう言って始まった彼女の過去の話では、彼女はとある王と女中の落とし子で母は王妃の怒りを買い死に、彼女は城の片隅で半ば幽閉されて育ったそうだ。
その後、内乱が起き街は戦火に包まれ、逃げ出したヴァナベルは流れ流れてクイン・ザザに乗る事になった。
って言ったら信じる? 最後にそう付け加えた事で、ブルノは揶揄われたと顔を紅潮させた。
そんなブルノを呼ぶ声が酒置き場の裏に届く。
その声に辟易した表情を浮かべながら、ブルノはヴァナベルに見送られ会場へと戻っていった。
彼を見送り酒瓶を傾け空を見たヴァナベルの目に、鳥の形をした飛行船が飛び込んで来る。
その姿を見たヴァナベルは目を見開き、船を凝視していた。
その暫く後、タキタはヴァナベルがいない事に気付き、疲れた様子でため息を吐くブルノにヴァナベルを見たか尋ねた。
酒置き場の裏でラッパ飲みしていた。そう言ったブルノの言葉でタキタが酒置き場に向かうと、そこにヴァナベルの姿は無く、飲み掛けの酒瓶だけが地面に転がっていた。
感想
今回はブルノの船、オボロカスカ号の解纜式のパーティーから始まり、ヴァナベルの失踪、小型飛行船フローヨー号でのヴァナベルの故郷アレーナへ、そして龍の作り出す幻を見せる霧に包まれる中、王国軍残党と議会軍の間で未だ内乱の続くアレーナでの様子が描かれました。
その中でも今回は、フローヨー号での旅の道中、一行の緩衝材となったオーケンが印象に残りました。
軽く剽軽で飄々とした印象のオーケンでしたが、ヴァナベルの身を案じ焦るジローにタジン鍋を使ったカレーを振る舞い落ち着かせていました。
そのエピソードを読んで、きっとオーケンは今までもそんな風に、乗組員たちの諍いや問題をのんびりやんわり解決して来たのだろうなと思いました。
また、アレーナ到着後、霧によってオーケンが見た幻も欲望一直線で、シリアスなギブスやジローと違い、どこまで行っても能天気で面白ったです。
まとめ
霧を生み出している龍、そして未だ争い続ける王国軍と議会軍。
ミカたちが龍をどう狩るのか、ヴァナベルがアレーナに戻った目的は何か。次回も楽しみです。
この作品はpixivコミックでも一部無料で読む事が可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。