波よ聞いてくれ 4 アフタヌーンKC
作:沙村広明
出版社:講談社
三回目の収録を終えたミナレは、MRSの看板DJである茅代まどかに夜の丸山公園へ呼び出される。
殺されるのでは警戒するミナレに、茅代は飲み物(ノンアルコールビールとカップ酒)を差し出した。
登場人物
城華亨(たちばな とおる)
城華マキエの兄
ボイジャー店長の宝田を轢いた。
両親を亡くした為かシスコンに拍車が掛かっている。
あらすじ
夜の公園のベンチに座り、やけに男前にカップ酒を開けた茅代とミナレは話す。
焼き鳥の食べ方のアンケートの話をした茅代は一通り話した後、私がこの話を面白いと思っている覚えておいて欲しいと言った。
何故かと問うミナレに、あなたは自分にしか興味が無いんでしょうと言いながら、書類を差し出す。
書類はラジオの企画書だった。
企画名はバレンタイン・ラジオ。
MRSだけでなく、系列局が各四名ずつ人気の話し手を出す公開イベントだ。
ミナレは自分は関係ないと言うが、茅代はそうは思っていないようだ。
その事はさておき、自分にしか興味がないとはどういう事か尋ねるミナレに、彼女は「波よ聞いてくれ」は番組の面白さでは無く、ミナレ自身の面白さだと答える。
その上では茅代は「ちゃんとリスナーに興味ある?」と問う。
長いのでまとめると、芸人等、彼らを目的に聞くのなら最悪リスナーは無視して構わない。
リスナーの聞きたいのは芸人の話なのだから。
しかし、パーソナリティとしてやっている茅代は、主役はリスナーだと思っている。
茅代自身、自分は凡人だと思っており、個性が強すぎるミナレ(茅代曰く、歩く放送事故)に対し思う所があるようだ。
その後もカップ酒を景気よく開けながら、様々な例を持ち出し話を続ける。
しかし結局は素人であるミナレが、番組で好き放題やっているのが気に食わない茅代は、酒を飲みつつお説教がしたかったようだ。
一通り話を聞き終えたミナレは、キレ気味に「知らんわ」と返す。
そもそも、ラジオを始めたのは麻籐に巻き込まれただけだし、現状がいっぱいいっぱいで、他人に興味を回す余裕など無い。
……反論のつもりが最終的に全肯定する結果となった。
感想
今回、あらすじで書いた茅代ですが、上記だけでは唯の酒好きクレーマーですので補足すると、プライドが高く真面目で不器用な彼女は、上手く立ち回り運の力で生きている様な人間を嫌っています。
唯、年齢を重ねた事でそこら辺をシニカルに話せる程には、自分の中で折り合いがついて来たのではと感じます。
何より彼女もラジオの事が好きなんだなと思いました。
以下好きな作中のシーン
ミナレの母:若い頃の貴方にそっくり。ほら、貴方が名前をつけて下さいな。
当時の父の愛人の名前(多分嘘)
ミチル
ナツコ
レイコ
ミナレの父:じゃあ、ミナレで
まとめ
この巻ではボイジャーで働くマキエと中原、そして重度のシスコンであるマキエの兄のお話と、人生相談(解決は余りしない)がメインになりかけている番組の方向性等が描かれました。
次巻ではミナレは作家の久連木、ADの瑞穂と共に久連木の小説の取材に同行します。
こちらの作品はアフタヌーン公式サイトで第一話が無料で閲覧できます。(19年12月現在)
またコミックDAYSでは一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。