雪女と蟹を食う 8 ヤンマガKC
著:Gino0808
出版社:講談社
強盗である北(きた)と旅して来た彩女(あやめ)の目的。
それは北の最果てで命を絶ち、夫であり作家でもある雪淵一騎(ゆきぶち いっき)の作品として永遠に残る事でした。
彼女はその願いを叶える為、海へ入り……。
あらすじ
彩女を追って夜の海に入った北、しかし流される彼女に追いつく事は出来ず、月の光で煌めく海で波に飲まれた。
気付けば北は日の上る砂浜に打ち上げられていた。
彼はその砂浜で、波に髪を漂わせ眠る様に横たわっている彩女を見つけた。
そっと頬に触れると、氷の様に冷たい。
更にいくら揺さぶっても彩女が目を覚ます事は無かった。
そんな彩女を担ぎ上げ、何とか車に戻った北に犬の散歩をしていた男性が声を掛ける。
彼はコンビニ袋を拾ったらしく、浜辺に車を止めてその傍にいた北が持ち主では無いかと声を掛けて来たようだ。
男性はずぶ濡れの彩女を見て、救急車を呼びましょうか? と北に提案するが、警察を恐れる北は何もしなくていいからと男性に袋を渡すよう手を差し出した。
そんな北の様子に危ない雰囲気を感じた男性は、袋を北に投げ足早にその場を立ち去った。
彼は通報するかもしれない。
そう感じた北はずぶ濡れの彩女を車に乗せ、その場から移動した。
その際、ガソリンの残量に不安を覚えた北は、彩女の口座から現金を引き出す。
口座には彩女の言葉通り、四百五十万近く入っていた。
「全部あげる」
海に入った彼女は月明かりの下、そう言って微笑んでいた。
「金だけあったって……! 金なんかあったって……」
ATMに縋る様に崩れ落ちた北は、そう言って涙を流した。
感想
自暴自棄になり押し入り強盗をした男、北と彼に襲われた人妻、彩女。
加害者と被害者の二人が、何故か北海道で蟹を食べ終わろうという事になり旅をする。
そんな感じで始まったこの物語も、この巻で完結。
物語冒頭、北は冤罪によって傷つき、何不自由の無い暮らしをしている様に見えた美しい人妻、彩女に八つ当たり的感情を抱いていました。
次に彼が抱いたのは性欲だった様に思います。
ですが、体を重ね旅を続ける内、彼は彩女に恋をして、そしてそれはやがて愛に代わっていった様に感じます。
漠然としたイメージですが、恋は自分自身の欲求を優先させている様に思います。
愛は逆に相手の幸せを願う物であるような気がします。
最終巻、彩女の為に憤り、彼女の夫である一騎に会いに行った北は、真実、彩女を愛していたのだろうと読んでいて感じました。
最後に、とても良いエンディングだった事を書き添えて、この作品の感想を終わろうと思います。
まとめ
この作品は表紙、そしてタイトルに魅かれ内容を知らずに手に取りました。
そして第一話で完全に引き込まれ、どうなるのかとずっと追う事になりました。
そんな作品が終わってしまうのは寂しい限りですが、Gino0808さんの次回作を待ちたいと思います。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
作者のGino0808さんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。