猫が西向きゃ 3 アフタヌーンKC
著:漆原友紀
出版社:講談社
フローと呼ばれる様々な影響を起こす自然現象がある世界。
そのフローに対処する二人と一匹の日々を描いた作品、完結巻。
各話あらすじ
#13 There is another tail.
高校の先輩である工藤を公園で見かけたヒロタとチマ。
警官である彼は息子のタクミを年老いた母親と協力し育てている。
だが警官という職業柄、十分に遊んでやる事は出来ず、緊急事態が起きればタクミとの約束に遅れる事もしばしば。
その事を心苦しく思っていた矢先、自分にそっくりな誰かがタクミを迎えに行っている事に気付き……。
#14 The tail is on the sea.
フローにより町の一画が海と入れ替わる現象が発生。
復元には40日程かかるというヒロタの言葉に、住民は海の上に移動した街から市が用意した仮設住宅に移り住む事になった。
電気ガス水道等のライフラインは使えず、殆どの住人が仮設住宅へ移る中、猟師の浦部は漁場に近いとの理由で町に残る事を希望。
更に住人の一人である沖という女性は、町の猫達が気になるという事で浦部の船で町へ渡る事を願いでた。
#15 The tail swims in the forest.
基本暇なヒロタフロー。
その日も依頼は入らず、ヒロタは目の前の海でのんびり釣り糸を垂らしていた。
そんなヒロタにチマは祭に行かないかと声を掛ける。
その提案に乗ったヒロタだったが、その祭は犬猿の仲である浮動神社が催している物だった。
#16 The tail can’t go home.
団地の四階に住む三人家族の家。
その家がフローによって五階に移動したり、山深い農村に移動するといった現象が起きる。
依頼を受けたヒロタは、原因は三人の思いが絡まり合っている事だと考えたのだが……。
#17 The tail is on the other side. 1,2
猫のしゃちょうについて散歩に出掛けたヒロタ。
いつもの事だとそれを送り出したチマだったが、その日ヒロタが戻る事は無かった。
いい加減なヒロタに嘆息しつつ、その日は事務所を閉めチマは帰宅した。
しかし翌日もヒロタとしゃちょうは帰って来ていなかった。
流石に心配になったチマは警官の工藤に事故届けの有無を確認に行く。
だが事故の届けは出ていなかった、その際、チマは工藤から昔似たような事があったと聞かされる。
ヒロタは高校生の時、家出をして数か月経ってふらりと帰ってきた事があったそうだ。
工藤が言うには帰って来たヒロタは、以前のヒロタとは何処か違っていたという事だった。
感想
不思議な自然現象フローに対処する業者の日常を描いた作品もこの巻で完結です。
今回も様々な現象が描かれました。
その中でもやはり最終話が印象に残りました。
並行世界、自分が生きている世界と似た少し違う世界。
その世界にはもう一人の自分が暮らしていて……。
SFやオカルトでモチーフにされる事も多いテーマの一つです。
人は日々、巻き起こる出来事に選択を下しています。
重大な物もあれば、毎日のルーティンに組み込まれている物もあるでしょう。
そんな選択の中であの時こうしておけば、と思う選択もあると思います。
並行世界という考え方、発想はそんなifを考える所から生まれたのではないでしょうか。
最終話を読んでいて、そんな事を考えました。
まとめ
蟲師はどちらかというと、印象として少し厳しい物を感じていました。
それは描かれた時代が、文明開化前後を意識しているからの様に思います。
この作品は舞台が現代という事もあり、のんびりと暖かい印象を受けました。
好きな作品の終わりはいつも寂しさを感じますが、ともかくホンワカとしたエンディングでとても心地よかったです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料で閲覧いただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。