あやかしメルヒェン 1 アフタヌーンKC
作:白乃雪
出版社:講談社
大昔からある一族を見守って来た座敷童の花緒(はなお)。
彼女はその一族の青年、コテツの祖母の死をきっかけに祖母の家からコテツの住むアパートへと住居を移しました。
そのコテツの部屋が少し目を離した隙に落雷で燃えてしまい……。
登場人物
花緒(はなお)
オカッパ頭の少女の姿をした妖怪、座敷童
メルヘンチックな物好きな青年、コテツの一族の家に住まい代々一族を守って来た。
怪異に好かれやすいコテツを守り守護する過保護な少女。
コテツを守る為ならかなり攻撃的になる事もしばしば。
コテツ
福をもたらす筈の花緒を家に住まわせているが、微妙に運の悪い青年
黒髪くせ毛で可愛らしい顔立ちの男性。
絵本作家志望らしく、その題材を求めアパートの部屋が焼けたのを機にドイツへと移り住む。
霊感が無く祖母の死後、ずっと一緒にいる花緒の事には気付いていない。
ラッツェル
森のコボルト
そばかすにトンガリ帽子、尖った耳を持つ妖精。
コテツが暮らす事になるシェアハウスのある森に、昔から住んでいた。
勝手に家を建て住み着いた人間達を、いやがらせによって追い出そうとしている。
ドロテア
黒い森に住む魔女
白髪に長い鼻、しわくちゃの顔、おとぎ話の魔女と聞いて大半の人が想像するだろう姿の老婆。
魔法のクスリを手渡す代わりに寿命を奪ったりする。
魔法で見た目も変えられるらしく、コテツの前には赤毛の美女の姿で現れた。
アンドレイ
シェアハウスに潜む吸血鬼
ルーマニアに古来から伝わるストリゴイと呼ばれる吸血鬼。
黒い長髪の気の弱い青年。
死んだ時見た血がトラウマらしく、他者の血を吸う事を忌避している。
野菜や果物、食品から生気を奪い細々と暮らしている。
カラスに身を変じる事が出来る。
彼は花緒やラッツェルと違い、普通の人間にも見る事が出来る様だ。
ネビ
家に住むコボルト
金髪にトンガリ帽子、尖った耳を持つ糸目の妖精。
森のコボルトのラッツェルと違い、人の仕事を手伝いその収穫物や成果物をこっそり頂いて暮らしている。
ペリ
ペルシアの妖精
豊かな黒髪と白い翼を持つ小鳥程の大きさの女性の姿をした妖精。
シェアハウスに住むイラン人の女性についてドイツに来たようだ。
ローゼンタール
コテツの住むシェアハウスの先代オーナー
髯に丸眼鏡の老人の姿をした亡霊。
オカルト的な物を生前、収集しており、現在も地下のコレクション部屋に潜んでいる。
あらすじ
就職活動も上手く行かず、部屋が落雷で炎上し住む場所も失った青年、コテツ。
そんな彼の一族を代々見守り続けて来た座敷童の花緒は、傷心のコテツが二年前に留学したドイツへと渡った事で、彼に付いて住み慣れた日本を離れドイツへとやって来た。
花緒は家に付く座敷童だ、部屋の消失は自らの存在の消滅も意味する。
彼女としてはコテツには日本で早く部屋を見つけて欲しかったが、彼の行く場所が花緒の住む場所だ。
新たな住処が外国である事に戸惑いながらも、花緒は馴染みの無い異国の妖精やおとぎ話の住民達と時に喧嘩しながら、時に協力しながらコテツの幸せを願い暮らし始める。
感想
勝気な性格の座敷童、花緒と絵本のモチーフとして不思議な物が好きな霊感ゼロの青年コテツ。
作品は様々な怪異を引き付けるコテツを、過保護な花緒が一生懸命守る形で進んで行きます。
ただ、守ると言っても一巻を読む限り、そこまで邪悪な悪霊的な物は登場しないのでダークな展開とかは無さそうです。
コテツは全く花緒やコボルトのラッツェルの姿が見えないので、彼らとコテツが話したり絡んだりする事は無く、物語は基本、花緒とおとぎ話の住人達がメインで展開します。
西洋の民話と東洋の座敷童。
花緒が今後、どんな者達と絡むのか……ドラゴンや狼男とか出るのかなとか考えるとなんだかワクワクしました。
まとめ
コテツを大切に思い、全力で守ろうとしている花緒。
彼女の存在にコテツはいつか気付くのか……次も楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読み頂けます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。