異剣戦記ヴェルンディオ 1 裏少年サンデーコミックス
作:七尾ナナキ
出版社:小学館
平穏な生活を望む傭兵のクレオはその資金調達の為、王国直々の依頼を受け、他の傭兵に混じり王国軍も手を焼いた山賊退治に向かいます。
ですが山賊は彼の想像を遥かに超える強さを持っていました。
特にその頭領は同じ人間とは思えない程強く、討伐を諦め這う這うの体で逃げ出します。
その道中、彼はコハクと名乗る亜人の少女と出会うのですが……。
登場人物
クレオ
額から頬にかけて刀傷のある傭兵の青年
孤児として育ち、十年間の傭兵生活で得た金で念願のマイホームを手に入れたばかり。
彼の夢はその家で平穏な自給自足の生活を送る事。
山賊退治はその為の資金調達の為だった。
傭兵だが腕はそこそこ。
料理上手。
コハク
クレオに付きまとう頭に獣の耳を持つ少女
強力な魔法使いで腕っぷしも強い。
未来が見えるらしくクレオの死を予期し、彼を守る為に近づいた。
サフィーア
ガルド王国第四騎士隊隊長
異剣と呼ばれる適合者が使えば特殊な力を引き出す剣に選ばれ、若くして隊長に抜擢された女性。
その若さからやっかみも多いらしく、色々ため込んでいる。
鬼雷の剣士(きらいのけんし)
黒髪の青年
雷を使い戦う姿から、おとぎ話に登場する雷を操る悪魔、鬼雷人から名前を取り鬼雷の剣士と呼ばれるようになった。
あらすじ
山賊から逃亡の途中出会った少女、コハクに付きまとわれる形でクレオは王都への道を急ぐ。
道中、未来が見えるというコハクに死を予言されたりしながらも、二人は王国の砦まで辿り着いた。
しかし砦は既に山賊によって壊滅させられていた。
それを為したのはクレオが逃げ出す切っ掛けともなった山賊の頭領だった。
逃亡でスタミナも尽きていたクレオは、本心では生き延びたいと思いながらも何故かコハクを逃がす為、こちらに気付き彼女を狙う山賊たちに突撃していた。
決死の覚悟で山賊に向かったクレオの上を飛び越す形で、山賊たちに無数の礫が飛ぶ。
何事かと思わず振り返ると、コハクが魔法を使い石畳から礫を作り出し山賊たちを撃退していた。
コハクの力に驚くクレオの後ろで頭領が放った爆炎が山賊を焼く。
その炎の中で山賊の頭領がギラつく目をコハクに向けていた。
強い者を求めていたという頭領に、コハクはクレオの制止も聞かず、躊躇する事なく歩みを進めた。
二人の戦いはクレオの知っている戦闘のレベルを遥かに超え、彼は物陰に身を潜め逃げ惑う事しか出来なかった。
そんな戦いを繰り広げたコハクと頭領の戦いも、結果、コハクが押し切る形で勝利を収める。
砦は二人の戦いで破壊され、その力の大きさにクレオも肝を冷やしたが、助かったのはコハクのおかげだ。
せめて飯ぐらいはおごるかと彼女の目を向けたクレオの胸を二本の弓矢が貫いた。
クレオは不運続きだった近況を思い出しながら、死にたくねぇと強く思いながら闇に落ちた。
次に目覚めた時、クレオの傍にいたのは背丈が縮み子供になったコハクだった。
どうやら彼女の魔法によって自分は助かり、魔力を使い過ぎた事でコハクは子供になってしまったらしい。
そんな子供になったコハクは、あれから百年程過ぎている事をクレオに告げた。
感想
頼りない傭兵のクレオと、獣耳の少女コハクによる酒場経営と拠点防衛をテーマにしたファンタジーです。
廃墟の古城をリフォームし、周辺で作物を育て城に大量に残っていた酒樽の酒を酒場で売りつつ、異剣という魔剣(聖剣)とそれを使える仲間を探すといった内容の作品です。
作者はヘルクを描かれた七尾ナナキさんですので、シリアスな状況でも笑いの要素が入っておりとても楽しく読む事が出来ました。
拠点となる古城が少しずつ住みやすくなる様子は、マイクラ等で世界を整備していく感覚に近く何だかワクワクしました。
まとめ
コハクは世界に何が起きているか知っているようで、そのキーマンとなるのがクレオのようです。
この巻のラストでは新たな仲間候補も登場したので、今後は酒場を営みつつクレオの使える異剣を探し、仲間を集めていく事になるみたいです。
次巻ではどんな展開になるのか、読むのが楽しみです。
この作品は裏サンデーにて一部無料で閲覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。