DOG SIGNAL ドッグシグナル 6 ブリッジコミックス
著:みやうち沙矢
出版社:KADOKAWA
頑張りが認められ生徒を任される様になった未祐(みゆ)。
愛犬サンジュとも息がピッタリだったはずが、未祐のちょっとした行動でその絆にヒビが入り……。
未祐の過去も描かれるドッグトレーナー物語、第六巻。
登場人物等
根岸修斗(ねぎし しゅうと)
犬好きの小学五年生
他人の飼い犬を追いかけ写真を撮る程の犬好き。
飼い犬のマルプー(マルチーズとトイプードルのミックス犬)のラテが全く懐かない事に落ち込んでいる。
ラテ
修斗の飼っているマルプー
ケージの中で縮こまっている。
修斗の母を噛んだ。
林温之(はやし はるゆき)
陰キャな漫画家
黒髪くせ毛のコミュ障な青年。
デビュー二年目、ネームが通らず鬱々とした日々を送っている。
茶太郎(ちゃたろう)
温之の愛犬
笑顔の素敵な柴犬
友人のいない温之には唯一の話し相手。
佐村早来(さむら さき)
未祐の弟
子供の頃からそうだった為か、兄の未祐に頼る事が当たり前だと思っている。
未祐の母
実家を出た未祐が家に金を入れる事を当然だと思っている。
金遣いが荒い。
嫌い。
あらすじ
ドッグトレーナー見習いとして多少、眞一郎に認められた未祐。
彼はサンジュと共に店の初心者コースを任される様になっていた。
そんな感じで少しは成長したかに思えた未祐だったが、些細な事からサンジュとの絆に綻びが生じ始める。
やがてそれは彼らの関係を悪化させていき、最終的にサンジュは未祐が眞一郎と出会った当初の様な問題行動を起こす様になっていた。
何とかそれを眞一郎に隠そうとしていた未祐だったが、生徒の前でサンジュに襲い掛かられてしまった。
サンジュが未祐を襲った原因が何か気付いた眞一郎だったが、あえてそれを未祐に伝える事はせず、サンジュを預かり未祐自身が何が原因か分かるまで店に来るなと突き放した。
サンジュがいない部屋で一人茫然としていた未祐を尋ねて、弟の早来が母に言われ未祐が金を半分出した車に乗りやって来る。
未祐は早来を部屋に迎え入れたが、未祐の部屋が事故物件だと知った途端、早々に部屋を後にした。
去り際、早来は母が変な通販にハマっている事を伝え、なんか言ってやった方がいいよと言ってその場を去った。
「お前が言えよ」
何故、家を出ている俺が言わなきゃいけないんだ。
そんな事を思った未祐の脳裏に母の言葉が蘇る。
“未祐は長男なんだからそのくらいできるでしょ?”
弟の保育園へのお迎え、夕食作り、実家への仕送り。
すべて労いの言葉一つ無くそのくらいできるでしょ?で終わらせられていた。
その時、未祐は自分もサンジュにそう言ってしまっていた事を、唐突に思い出した。
感想
今回はあらすじで書いた後半に収録された未祐のエピソードの他、犬好きな少年修斗と懐かないラテ、陰キャな漫画家と耳の聞こえなくなった柴犬茶太郎の三つのエピソードが収録されました。
その中で一番印象に残ったのは未祐の母親でした。
彼女は未祐が自分達に奉仕する事が当然だと思っており、未祐が何かしてもありがとうの一言もありません。
以前、どこかで書いたような気もしますが、例え家族であっても感謝を伝える事は大事だと思います。
感謝の言葉の無い日々は、行った側の気持ちをすり減らしていく様に感じるからです。
勿論、何かを行ったから感謝しろみたいなのもどうかと思いますが、ごく自然にありがとうと言い合う、助け合う様な関係が家族でも理想なのかなと今回のエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
この巻では漫画家の温之と茶太郎のお話がとてもホッコリしました。
眞一郎に教えられる事無く、自分で考え耳の聞こえなくなった茶太郎と再びコミュニケーションを取る方法を考えた温之。
温之の茶太郎に対する愛を感じるエピソードでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はComicWalkerにて一部無料でお読みいただけます。
作者のみやうち沙矢さんのTwitterはこちら。