トクサツガガガ7
作:丹波庭
出版社:小学館/ビッグコミック
中村叶、27歳、OL、特撮オタク。
母からのバースデストロイヤー*作戦を吉田さんの策で何とか凌いだ叶。
仲間からのサプライズパーティー(実益含む)もしてもらい、叶の特撮オタクライフは益々充実中。
*バースデストロイヤー
お誕生日おめでとうから始まり、結婚や恋人のことなど、独身者の心を破壊する言語兵器
第六十八話 ハートのドキドキ
あらすじ
ラブキュート(女の子向けアニメ)のショーに任侠さんと赴いた叶。
切っ掛けは、叶の誕生会の時、任侠さんが好きなラブキュートのショーに行ったことが無いという話から始まった。
同じくラブキュートが好きな窪田さん(カラオケ店店員)は行ったことがあるらしく、行こうかという話になったのだが、男二人はキツイということで叶も一緒に行くことになったのだ。
叶は任侠さんにファンなのに、何故ショーを見たことがなかったのか聞くと、彼は見たらわかると答えた。
ショーが始まり、ラブキュートのアローがステージに登場する。
叶は衝撃を感じる、なんか思てたんと違う。
笑顔のまま変わらない表情、顔に比較してリアルな髪。
違和感を言葉に出来ないまま、ショーを見ていると、遅れていた窪田さんが合流する。
感想を尋ねる彼に言い淀んでいる二人に、窪田さんは言い放つ。
「すごくブキミですよね。」
オブラートに包んで言おうとしていた二人に窪田さんは言う。
あれは着ぐるみすぎませんからと、ショーを見るとちびっ子たちは平気な様子。
叶は考える、特撮は元々実写だが、ラブキュートはアニメだ。
どうあがいても、着ぐるみなのはしょうがないのかな。
ショーは進み、握手会に移っていた。
窪田の勧めと任侠さんへの義理もあり、叶も渋々握手会に参加する。
直前で周りも視線もあり、握手を断ろうとする叶。
そんな叶を見て、ステージのアローは泣き出してしまう。
いたたまれなくなった叶は、アローと握手し窪田さんたちと合流した。
まさか泣かしてしまうとはという叶に、窪田さんは着ぐるみですから泣く訳ないですよと冷静に答える。
身も蓋もないという二人に、窪田さんは続ける。
ホントに女の子を泣かせてしまった気持ちになったんですよね。
窪田さんの言葉に叶は気付く、確かにその通りだった。
最初は不気味な着ぐるみとしか思っていなかったのに。
窪田さんは過去にもショーを見て、ガッカリしたことがあると語った。
それは着ぐるみの出来ではなく、演じる人の姿勢からだった。
ティアール(ラブキュートの登場人物、泣き虫な女の子)に、力強く握手されたことで、ティアールではなく、ティアールの格好をした人と感じたのだ。
窪田さんは言う。子供が着ぐるみの違和感に鈍いのもあるが、そこにキャラクターのらしさがあるから、はしゃぐのだと。
まとうだけじゃ、それはまだ「着ぐるみ」
でも、手が、指が、やわらかく、かしぐ首が、
「着ぐるみに」「アロー」という女の子の命を宿す。
アローにハートを射抜かれた叶と任侠さん。
叶はかわいかったを連呼する生き物と化していた。
握手の時の写真を撮っていたと、窪田さんがいうので早速送ってもらう。
そこには引きっつった表情でアローと握手する、叶と任侠さんの姿が写し出されていた。
後日、二人はアローのところだけを切り抜いた写真を、窪田さんに送ってもらうのだった。
感想
今回は殆どの人が苦手としているGのお話、人形劇、未完の名作「惑星O」、縁日の景品、ヒーローショー、作品のリメイク等の構成です。
特に人形劇の話は、私も経験があります。
昔好きだった作品を見たくなり、Amazonで調べたら、DVD化されていない、もしくはされていても、絶版でプレミアがついて非常に高額で手が出ないことがありました。
現在は放送された殆どのものが、DVDやBDで販売されたり、webのサービスで視聴できるので、だいぶましになりましたが、それでもフィルムの紛失等で二度と見れない作品も多くあります。
国会図書館のように映像作品を全て保管して、好きな時に視聴できる場所があればと、ぼんやり考えてしまいます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。