トクサツガガガ6
作:丹波庭
出版社:小学館/ビッグコミック
中村叶、26歳→27歳、OL、特撮オタク。
結婚式の二次会への移動中。閉店したレンタルビデオ店を見て、叶は高校時代を思い出す。
特撮から離れ普通の女子高生として生活していた叶。
卒業を間近に控えた彼女は、閉店間際のレンタルビデオ店で昔、夢中で見たエマ―ジェイソンと再会する。
母の特撮嫌いを思い、一旦は店を後にした叶だったが、エマ―ジェイソンが最後に何と言ったかが気になり、再度店を訪れたのだった。
第50話 たとえ忘れてしまっても
あらすじ
再度、店を訪れた叶にじいばあ(ビデオ店店主、あだ名、性別不明な老人)は、観ていない(覚えていない)のに嫌いと言われるのが嫌いと語り、無理やりビデオを渡す。
家には母がいるため、観る事が出来ない。
叶は早朝の学校。部室(美術準備室)のテレビデオでエマ―ジェイソンを再生する。
全てが終わった後、子供たちに別れを告げるエマ―ジェイソン。
迷惑をかけた自分たちを恨んでいる人も多く、修理できる博士もいない今、身を隠しひっそりと消えることを選んだのだ。
そんな彼に子供たちは言った。
エマ―ジェイソンは自分の事が言えるまで待っていて欲しいと、自分たちに言った。
自分たちは待ったのだから、エマ―ジェイソンも待っていて欲しい。
必ず修理方法を見つけ、ロボットを虐めないように伝えるからと。
同じく博士に作られたネッケシタスは言う。
何年後になるか分からないし、子供の記憶にはバグや消失が多い。
現実的ではない。
それを聞いて、エマ―ジェイソンは言った。
「僕らだって完璧とは言えない。忘れてしまうかもしれない。
でも忘れても、みんなを好きな気持ちは、なくなるわけじゃないんだよ。」
叶の心にエマ―ジェイソンとの思いでが蘇る。
どんなに起こられて、取りあげられて、ずっと離れて、忘れてしまっても…忘れていただけで、あの頃から好きな気持ちは、ずーっと変わらない。
また、会えて良かった。
味をしめた叶は、卒業まで早朝に部室で、ディフェンダーの再放送を視聴し、順調に特オタへと返り咲いたのだ。
きっかけを与えてくれたじいばあに、一言お礼がいいたいな。そう叶は思うのだった。
二次会への移動中、早く着いた一行はDVDショップで時間を潰すことにする。
DVDショップ「心機一転」店長はじいばあだった。
感想
今回は叶が特撮に返り咲いた、切っ掛けとなったお話からのスタートでした。
エマ―ジェイソンの言葉が素晴らしく、叶の思い出として断片しか知らない筈なのに、涙腺が緩んでしまいました。
他にもフィギュアのポージング、ミニチュアの撮影テクニック、友人の推してくる作品がつまらない、叶のお誕生日会(26歳から27歳になりました。)など見どころ一杯です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。