傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 4 バンチコミックス
著:磯見仁月
出版社:新潮社
外交革命を推進しているショワズール公爵。
彼と対立する国王の娘達、アデライード、ヴィクトワール、ソフィーの三姉妹の妨害工作で国を挙げたアントワネットの結婚式のドレスを仕立て直しをする事になったマリー。
彼女とレオナール、デュ・バリー婦人(べキュー)によってドレスの不備は何とかカバー出来たのですが、結婚式をした後も夫オーギュストはアントワネットから逃げ回っている様でした。
登場人物紹介
エレーヌ・エリザベート・フィリドール
現在の王太子妃付きモード商
モノクルを掛けた年配の女性。
マリーが働く店の主、パジェルとは古い知己。
アントワネットのドレスを仕立て直したのがマリーだと気付き、新しい波の到来を知る。
メルシー・アルジャント―伯爵
フランス駐在 オーストリア大使
オーストリア女王、マリア・テレジアの腹心。
アントワネットとオーギュストの仲が良くない事で、フランスとオーストリアの同盟関係に問題が起きる事を危惧している。
ヴォーギュイヨン公爵
王太子オーギュストの傅育官(ふいくかん:教育係)
表面上は穏やかな老人。
オーストリアとの同盟を良しとせず、オーギュストにアントワネットとの同衾さえも避けるよう促す。
グラモン夫人
親オーストリア派であるショワズール公爵の妹
穏やかな笑みを浮かべる老婦人。
味方のいない王宮でアントワネットの支えとなる。
王の不興を買ったショワズール公爵が罷免され、彼と共に王宮から姿を消す。
あらすじ
同衾はするものの何もしない王太子オーギュスト。
彼に近づこうとすると盗み聞きをする傅育官のヴォーギュイヨン公爵。
厳しい礼儀作法、分刻みの日課。
そんな中で味方だと思っていた王の娘達の裏切り。
心を許せる者のいないアントワネットは、部屋に引きこもり下着姿でお菓子を食べるだけの毎日を過ごしていた。
作法を逸脱し怠惰な生活を送るそんなアントワネットに歩み寄ったのは、新オーストリア派のショワズール公爵とその妹グラモン夫人だった。
ようやく信頼出来る後ろ盾を得たアントワネットだったが、ショワズール公爵は国の方針を巡って国王ルイ15世と対立、それが王の不興を買い罷免されてしまう。
彼の罷免がデュ・バリー婦人の差し金だと噂を耳にしたアントワネットは、彼女に対し憎しみを募らせ、宮廷のマナーである挨拶さえ行わず、後に挨拶戦争と呼ばれた対立を生み出してしまうのだった。
感想
今回は国王の公妾であるデュ・バリー婦人(べキュー)とアントワネットの対立によって、フランスとオーストリアの同盟に亀裂が生じ掛けました。
べキューは王がその地位を認めた者であり、彼女に挨拶を返さないという事は王に逆らっているのと同じ意味を持つ様でした。
そんな状況の中で荒れるべキューに、マリーはアントワネットが挨拶を返さずにはいられないドレスを仕立てます。
今回、印象に残ったのはべキューが語った生い立ちとその際、彼女が言った「生きる為に持てる才能を活かしただけ……それの何が悪いの!?」というセリフでした。
私生児だったべキューは女性の地位が低い当時、自らを磨き上げ必死で生きようとしたのだと思います。
たまたま持って生まれた地位に胡坐をかき他者を見下す貴族よりも、べキューの自ら勝ち取った生き様の方がとても格好良く素敵に感じました。
まとめ
今回のエピソードでべキューの事が更に好きになりました。
後にアントワネットのモード商となるマリー。
彼女とべキューがどんな関係に今後なっていくのか、次も楽しみです。
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