おかしき世界の境界線 2 裏少年サンデーコミックス
作:村田椰融
出版社:小学館
見えないモノが見える少女千鶴(ちづる)とその友人美涼(みすず)の友情と、二人が遭遇する怪異を描いた作品、第二巻。
今回は前回からの続き、ユーチューバーの高校生、ワタルのエピソード後編からスタートします。
登場人物
水卜龍磨(みうら たつま)
美涼の父
ちょんまげサングラスの無精ひげおじさん。
本業は縄文時代の民俗学を研究する学者。
怪異が見えるアプリHIMICOを友人と共に開発した。
千鶴の力に関して何やら画策している模様。
千鶴の祖母
白髪和服の老婦人。
千鶴とは血の繋がりは無く、たらい回しにされていた彼女を引き取った。
千鶴の力、感情や深層心理が人や世界に影響を与える事を危惧し、彼女に親しい友人を作る事を禁じている。
座敷童(ざしきわらし)
幼い子供の姿の妖怪
本作では誰かの家では無く、神社を住まいとしている。
子供達と遊ぶため彼らを神社の敷地に閉じ込めた。
遊びたかっただけで悪意は無かったようだ。
あらすじ
心霊スポットである家に入り込み、お札を剥がした事で霊に囚われたユーチューバーのワタル。
彼を霊から解放する為、千鶴は彼に霊に告白しろと告げた。
どうやら千鶴が霊と話した所では、一度でいいから好きな男から告白されてみたいらしい。
思い残した事を叶える事で魂が軽くなり、早めに生まれ変われるそうだ。
霊に告白するってどうすれば!?
戸惑うワタルに千鶴は美涼を促し携帯を渡させた。
携帯アプリHIMICOを使えば霊の視えないワタルも彼女を認識出来る。
だがHIMICOを通し霊を視たワタルは、貴重な人生を自らリタイアした奴を成仏させる程お人好しでは無いと拒絶した。
千鶴はそんなワタルに成仏させなければ、今後の生活に支障をきたすと告げ、美涼も自分の為だからと彼女の言葉を後押しした。
二人に促されたワタルは美涼の携帯片手に霊の前に座る。
あの……そう切り出したワタルの告白の言葉は
「ごめんなさいっ! やっぱ告白できません!」
だった。
感想
今回はワタルの話から始まり、座敷童、千鶴の祖母と千鶴の力、美涼の父と力の正体等が描かれました。
今回はその中でもワタルが霊に言った言葉が印象に残りました。
彼は五人兄弟の末っ子で優秀な兄と家でも学校でも比較されて育ってきたようでした。
ユーチューバーになったのも嘘偽りの無い自分自身で成功し、彼らに対抗する為だった様です。
嘘をつかない、それは彼の土台でありフォロワーを得て有名になってもそれだけは譲れない誇りの様でした。
生まれ変わって法に触れないレベルまで育ったら会いにきてほしい。
その時はちゃんと向き合う。ちゃんと待ってる。
彼のその言葉で霊は薄れ窓から差し込む光の中、薄れ消えました。
彼女もワタルの言葉に嘘が無いと感じ取ったのだと思います。
インターネットの登場で、有名人で無くても多くの人に自分の言葉を伝えられる様になりました。
無名であっても見られる見られないは別にして、世界中に自分の意見を発信出来る。
だからこそ伝える情報には嘘が無いようにしよう。
ワタルを見ていてそんな風に改めて思いました。
まとめ
今回、美涼の父、龍磨の話を聞いて千鶴は力に対する認識を改めました。
その事で彼女の未来がどう変わるのか、次も楽しみです。
この作品は裏サンデーにて一部無料で閲覧いただけます。
作者の村田揶融さんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。