島さん 1 アクションコミックス
著:川野ようぶんどう
出版社:双葉社
コンビニエンスストア「ベターデイズ」。
その店で働く白髪頭の人当たりのいい老人、島。
いつもニコニコ、愛想のいい彼には実は秘密にしている過去がありました。
登場人物
島砂二(しま すなじ)
コンビニバイト
イガグリ頭で白髪の老人。
バイト暦は長く、様々な系列店からヘルプ要請がかかる。
人当たりのいい温和な性格。
昼は警備のバイト等もして昼夜問わず働いている。
小関(こせき)
島の同僚
黒髪で明るい若者。
沢みなみ(さわ みなみ)
小関の店の店長
茶髪ポニテの若い女性。
しっかり者。
スイヅ
ネパールから来た若者
当初はよく泣いていたが、現在は夜勤リーダーを務める真面目で優秀な青年。
武士道と任侠道を勘違いしている。
ヤネ
昔、島と一緒に働いていた男性
面倒見のいいハゲのおじさん。
中西
島がヘルプに入ったコンビニのオーナー
角刈りの男性。
父親がやっていた酒屋を閉め、コンビニに変えた。
マサキ
中西の息子
金髪の軽い若者。
コンビニで働いているが客の女の子に声を掛けたり、サボったりと勤務態度は最悪。
しが
ベターデイズの向かいに出来たコンビニ「ジェロニモ」の店員
黒髪を肩口で切り揃えた感じのいい女性。
羽場(はば)
ジェロニモが出来た事で売り上げが落ちているベターデイズオーナー
以前は温厚だったが、真正面にライバル店が出来た事でかなり荒れている。
荒れてはいるが最低限のモラルは何とか保っている。
大黒(だいこく)
羽場の店のバイト
青森出身で訛りがある為、客とのコミュニケーションに苦手意識を持っている。
ミチ
新聞配達員
つぶらな瞳の老人。
かなり広範囲を担当していたが、寄る年波には勝てず引退を決意した。
稲三(いなぞう)
島が幼い頃、預けられた家で出会った男
ヤクザだが心根の優しい男性。
冒頭あらすじ
フランチャイズ展開するコンビニ「ベターデイズ」で働く小関は、その日、深夜に煙草を買いに来た明らかに未成年の少年二人にアタフタしながら身分証の提示を求めていた。
未成年に煙草を販売すれば罪に問われるのは店側だ。
凄む少年たちにいっそ売ってしまうかと小関が考えたその時、同じく深夜シフトに入っていた島という老人が少年たちに声を掛ける。
島は愛想のいいいつもニコニコと笑っている様な老人だ。
彼ではいきり立った若者をどうにかする事は出来ないだろう。
出て来なくていいから通報してくれそう思った小関を他所に、彼は未成年に煙草は売れないとキッパリと告げ、その後、少年たちを無視して店内で商品を見ていた別の一組、その内の背の低い青年に声を掛けた。
「年齢が確認できなければ、タバコの販売はできません。お連れの方にもどうぞよろしくお願いします」
その言葉でレジでごねていた少年たちの顔色が変わる。
島が語り掛けた男は彼らのリーダー格だった。
勿論その事を島が知る筈も無い。
だが何故か島は迷う事無くリーダーに声を掛けた。
その事で何か異質な物を感じた四人組は、逃げる様にそそくさと店を後にした。
その様子を見た小関は仕事上がりに島に礼を言い、よく怖くないですねと言葉を続けた。
それに島は防犯ベルがあるから、押せばすぐに警備会社が来てくれると返した。
小関もそうですよねと笑い、お疲れ様ですとシフトを上がって行った。
その後、一人更衣室で制服を脱いだ島の背には見事な龍の入れ墨が彫られていた。
感想
愛想のいいお爺ちゃんがかつてはヤクザだった。
そんな驚きから物語はスタートします。
ただ、島がヤクザだった片鱗を見せる事は無く、彼はなるべく穏便にコンビニで起こる様々な問題を解決していきます。
間違った道を選んでしまった人。
それは自分で選択した道もあれば、巻き込まれそちらに行ってしまった場合もある筈です。
現在の日本ではそんなドロップアウトした人が浮き上がれる道は、限られている様に思います。
犯罪歴、年齢、性別、様々な物が普通に生きる事に制約を科している。
人間は誰だってミスをすると思います。
そのミスを責めるのではなく、償った者を許し復帰を促す社会。
帯に書かれていた様に島も含め、そんな人々が何度でも立ち上がれる世界になればいい、読んでいてそう感じました。
まとめ
島さんの過去は一巻では幼少期が描かれただけで分かっていません。
今後、ヤクザ時代の事も描かれるのかなと思います。
次はどんな問題が起きるか、それをどう島が解決するのか、今から楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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