土地神と、村で一番若い嫁 3
著:あらをか青い
出版社:一迅社
ウブな土地神様とその嫁の生活を描いた作品、第三巻。
今回は子孫繁栄を司る神の嫁である”なでしこ”が家出して来ました。
登場人物
朝顔(あさがお)
なでしこの姉
黒髪で糸目の女性。
元花魁で現在も色町で暮らしている。
義姉として子孫繁栄を司る神の相談に乗っている。
おっとりとした見た目とは裏腹に俊敏で強か。
あらすじ
夫婦になって暫く経つが土地神とかすみは当初と変わらず、互いに気遣いすぎて、距離を測る様な暮らしを続けていた。
そんな二人の下に子孫繁栄を司る神の嫁、なでしこが訪ねて来る。
話を聞けば家出をして来たようで、子孫繁栄を司る神とは離縁するつもりらしい。
なでしこの話を聞いた後、少し体調のすぐれないかすみに休むように言って、二人のいる部屋を後にした土地神は自分の身に置き換え考えた。
もしかすみに愛想をつかされ出て行かれたら……。
想像するだけで土地神は背筋が凍る思いがした。
一方、かすみも自分が疲れたとぼやいた所為で土地神に気を使わせてしまったと落ち込む。
近くにいることが負担なのではと呟くかすみを、なでしこはそんな事は無いと慰めた。
初心で身を引いてしまいがちなかすみを、なでしこは少し揶揄い気味に恋の話をしながら元気づけ励ます。
そして最後に、からからと明るく笑っいながら立ち上がり庭を見て
「うちの恋はもう終わってしもうたんやけどなぁ~」
と笑い飛ばすように言った。
そんななでしこの手をかすみは思わず握りしめる。
なでしこは笑いながら泣いていた。
自分に切なげな視線を送るかすみの顔を見て、なでしこは彼女の胸に顔を埋め、あんたの恋はきっと大丈夫と呟いた。
感想
何気ない言葉が相手を深く傷つける。
現実社会でもそんな事はよくあると思います。
ツイッター等でも言葉足らずな表現によって、言い争いに発展しているケースをよく目にします。
まぁ、ネット上のやり取りは本気では無く、相手を煽りその反応を楽しんでいる場合も多々あるのでしょうが、議論では無く感情のぶつけ合いになっているのを目にすると何だか不毛な物を感じます。
今回は子孫繁栄を司る神と、なでしことの行き違いから家出騒ぎに発展していたのですが、読んでいて言葉というのは不自由な物だなぁと感じました。
百の愛してるよりも、一度の口付けの方が雄弁に愛を語るのかもしれません。
そんな事を今回は思いました。
まとめ
今回はなでしこの家出騒動をメインに、巻き込まれた土地神とかすみの様子が描かれました。
読者として二人の心の声を知っている身としては、もうさらけ出してイチャイチャしちゃえよと思う部分もあるのですが、初心な二人をもう少しニヤケながら見ていたいとも感じます。
少し進展した二人がどうなるのか、次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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