ロスト・ラッド・ロンドン 2 ビームコミックス
著:シマ・シンヤ
出版社:KADOKAWA
ロンドン市長殺害事件。
刑事のエリスは殺害現場の地下鉄で市長のそばにおり、更に殺害の凶器らしいナイフを所持していた大学生アルを白だと踏み、彼と二人真犯人を探し始めました。
アルが犯人では無いなら、ナイフを仕込めたのは同居人のカラムが可能性が高い。
そう考えたエリスは彼に話を聞こうとしますが、カラムは既に地下鉄の線路へ飛び込み亡くなった後でした。
登場人物
グラント
刑事
赤毛の若い刑事。
恐らくキャリアで事件を主導し早期解決に躍起になっている。
アルを犯人と決めつけ、それを基準に捜査を行っている。
ロイス・キング
殺された市長の息子
黒髪のハンサムな青年。16歳
事件にショックを受けた家族を気遣う。
エマ・キング
市長の妻
金髪の白人女性。
夫の死にストレスを感じ頭痛薬を常用している。
市長との夫婦仲は子供達によって保たれていたようだ。
リリー・キング
市長の娘
金髪の少女。12歳
父の死にショックを受け塞ぎこんでいる。
あらすじ
何か知っていたかもしれないカラムの死。
エリスははカラムの携帯が現場から消えている事を突き止め、犯人がカラムを突き飛ばし、携帯を持ち去った可能性を考える。
一方、アルはエリスに言われ、自分を生んだ実母との接触を図る。
アルが事件の犯人にされた理由、エリスはそれを彼自身に求めたのだ。
それによって辿り着いた真実。
それは亡くなったアルの母親アヴァニ・バトラーはかつてキングとかなり親密な関係だったという事だ。
叔母から貰った母とキングが一緒に映った写真でアルがその事を知った直後、彼の部屋に同じ写真が届けられる。
写真にはキングの顔がマジックで丸く囲まれていた。
事件とアルを結びつける物、それはアルが市長の息子ではないかという物だった。
写真を届けたのは恐らく真犯人だろう。
エリスはアルに部屋から出て実家に戻る様に促すが、アルは家族を危険に晒す事を考えそれを拒否。
エリスは仕方なく自分の家で身を隠す事をアルに提案した。
感想
あらすじは一巻のダイジェストになってしまいました。
なので少し追記を、エリスの家に身を潜めたアルは捜査を主導するグラントによって取り調べを受ける事になります。
グラントは早期解決を得たいが為、南アジア系のアルを犯人にしたい様でした。
この作品ではアルの他、エリス、ユキなど人種や性別に対する白人からの差別が描かれています。
それはあからさまな物では無いですが、肌の色や性別、貧富の差によって意見を聞かれなかったり、聴取もされなかったりと様々です。
この巻では作中、エリスとユキの過去でそんなシーンが描かれました。
他の刑事が着任したユキをミス・ゲイシャと呼んだ事にエリスが憤る場面、そしてその後の二人の会話。
白人社会の中で、そして男性優位の警察の中でエリスとユキは仲間として戦ってきたのだろうと感じました。
今回、そのエリスとユキの会話が印象に残りました。
エリス:今日の天気は君だな。
ユキ:冷たくて厳しい?
エリス:名前、日本語で雪って意味だろう。
ユキ:調べたの?
エリス:俺も刑事だからな
文化、言葉を知る事、未知は恐怖であり知らない事は認識を歪める。
エリスはそんな状況を打破する為、常に知る努力をしている様に感じました。
まとめ
犯人の姿は見えず、味方は少ない。
そんな状況の中、アルとエリスは警察の追及を逃れ話し合いながら独自の捜査をしていきます。
次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はComicWalkerにて、一部無料で閲覧可能です。