赤髪の女商人 2 アルファポリスCOMICS
著:のゆ
出版社:アルファポリス
贋金をばら撒いた罪で金貨千枚の補償金を払うか、それとも処刑されるかを選ぶ事になった女商人のリアノン。
贋金の事は取引相手のタルキンに騙されたと主張したリアノンだったが、代官は彼女の言葉を聞き入れず金か死かを迫った。
仕方なく補償金を支払う事を約束し、隙をついて何とか街から逃げ出し女子修道院にリアノンは駆け込む。
修道院は法によって一年はリアノンを保護してくれた。
その期限の間に彼女はなぁなぁだった修道院の経営を立て直し、北の蛮族イスクローカの襲撃を交渉によって回避、共に商売しその売り上げを修道院から借り受ける事で補償金金貨千枚を払う事に成功した。
しかし、補償金によって処刑は免れたものの、リアノンには贋金をばら撒いたという不名誉な前科は残ったままだった。
登場人物
オスリック
ダール伯爵
十代の金髪少年。
兄ベオファの仕掛けた陰謀の解決をリアノンに依頼する。
ベオファ
オスリックの兄
赤毛ロングの青年。
妾腹の子の為、爵位は継げなかったが現在は後見人として伯爵領を牛耳っている。
貴族の力を使いリアノンに再び冤罪を着せる。
アデルマス
司教
穏やかな雰囲気で誠実そうだが中身はかなりの曲者。
リアノンの処刑が行われる日、領主に相応しい人物を見極める為、処刑場へと赴いた。
あらすじ
マーケットの売り上げを修道院全体の申し出として借り受けたリアノン。
無事、補償金も払い、晴れて自由の身とはなったが、以前として前科はついたままだ。
商売人として前科持ち、しかも罪状は贋金の流通では信用等、得られる筈もない。
今後の商売に関わると濡れ衣を晴らそうとリアノンは考えるが、その方法についてはまだ何も浮かんではいなかった。
そんなある日、修道院にいたリアノンに伯爵からの呼び出しが掛かる。
お忍びで向かった先の城で出会った伯爵は、まだ幼さの残る少年だった。
その少年伯爵オスリックによると、今回リアノンが巻き込まれた贋金騒動の黒幕は彼の兄ベオファだという。
妾腹の子であったベオファは正妻の子オスリックが伯爵の地位に収まった事に不満を抱いており、後見人を名乗り伯爵が有する権利を乱用。
更に贋金騒動を起こし、それを抑えられなかった責任をオスリックに押し付け爵位を奪うつもりなのだという。
まだ未熟なオスリックは城内でも立場は弱く、兄につく臣下も多い。
そこで彼は交渉によって、北の蛮族イスクローカの略奪を未然に防いだリアノンの手腕に期待し、前科を取り消す代償として贋金騒動の解決を彼女に頼んだ。
リアノンは黒幕が分かっているなら、自分の冤罪は証明されたような物だと無条件で前科を取り消すようオスリックに迫るが、交渉材料の無いオスリックは彼女の要求を受け付けなかった。
味方がおらず追い詰められたように見えるオスリックの姿に、リアノンは渋々といった様子で依頼を受ける事にしたのだった。
感想
今回は伯爵オスリックの依頼から始まり、贋金の見分け方、ベオファの陰謀、冤罪からの処刑場、神明裁判等が描かれました。
作中、貴族、そして金の力は大きく、一庶民(前科持ち)であるリアノンの立場は非常に弱い物でした。
この作品ではリアノンには修道院のシスター達の他、伯爵のオスリックの様な味方がいましたが、現実では貴族の謀略によって消された命は多くあったのではと、今回のエピソードを読んでいて思いました。
また作中、ベオファは神に祈る事で、自身の正当性を自らに信じ込ませていました。
その様子は正気を失っている様にも感じられました。
しかし、シスター・フィオーラによって神の罰が下ると言われた際は、彼はたじろぎ、言葉を失くしていました。
ベオファ自身、間違っていると本心では分かっていたのかなぁと感じると同時に、それを振り切り開き直ってまで自身の描いたシナリオに固執する様子は、権力とはそこまで魅力的なのかと気味の悪さを感じました。
まとめ
物語冒頭、冤罪の原因ともなった贋金騒動。
色々ありましたがそちらも終わり、リアノンは次の商売に乗り出す様です。
次巻、どんな展開になるのか読むのが楽しみです。
こちらの作品はアルファポリスにて一部無料で閲覧いただけます。
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のゆさんの作品「青色の遺産 Blue Heritage」はこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。