カナカナ 1 少年サンデーコミックススペシャル
著:西森博之
出版社:小学館
海辺の町で居酒屋を営む青年、日暮正直(ひぐらし まさなお)。
ある日、彼は一人の少女と出会います。
強面の正直にその少女は何故か懐き……。
登場人物
日暮正直(ひぐらし まさなお)
先輩料理パイセンという名の居酒屋を営む青年
額から左目の下の頬まで傷がある長身で黒髪の男性。
その見た目でスーツなどを着るとヤクザと思われる。
陽気で正義感が強く単純。
あまり物事を深く考えない為か、暴走しがち。
佳奈花(かなか)
親戚から逃げて来た少女
他人の心が読める事で他者の悪意を知り、人を恐れている。
裏表が無く明るく広い心を持つ正直に強く魅かれる。
おばちゃん
正直のおば
パーマの中年女性。
口うるさいが正直と佳奈花の事を気に掛けている。
勇介(ゆうすけ)
正直の友人
バンダナに茶髪の青年。
ツッコミ担当、勘が鋭い。
沢田(さわだ)
佳奈花の遠い親戚
リーゼントで派手なガラのスーツを着た中年男性。
佳奈花の力を知り、その能力を利用しギャンブルで儲けようとしている。
岸田(きしだ)
刑事
中年の刑事。
過去に正直と接点があったようだ。
少年:名前不明
追いかけっこが好きな少年
短髪で天然な男の子。
逃げ出した佳奈花を逃げる者を追うという動物的な感覚で追い廻した。
本人に悪気は全くなかった。
夏影英子(なつかげ えいこ)
佳奈花と同世代の女の子
祖母の教育で帝王学を学んだ少女。
プライドが高く恐怖に立ち向かう性格。
あらすじ
額から頬にかけて縦に走る恐らく刃物で付けられたであろう傷。
鋭い眼光に大きな体、その見た目とは裏腹に明るく真っすぐな青年、日暮正直。
海辺の町で居酒屋を営む彼は、おばから父の弟の嫁の妹の娘であるという乱暴な少女を、悪から立ち直った先輩として更生させる様に言い渡される。
一方、その乱暴な少女、佳奈花は引き取られた親戚の家から逃げ出し、追ってくる親戚から逃れる為、公園に潜んでいた。
彼女が乱暴だというのは誤解だった。
遠い親戚である沢田は、佳奈花に人の心を読む力がある事を知り、彼女を引き取りギャンブルで一山当てようと考えていた。
その企ての為に佳奈花が現在住んでいた直正の祖父次郎の家で、花瓶を割ったり窓ガラスに石を投げ、全ての罪を佳奈花に着せていたのだ。
人の心が読める佳奈花は沢田の心や親戚の心を読み取り、怖くなって逃げ出したのだった。
公園で隠れている佳奈花に、聞きたくない人の負の心が聞こえてくる。
皆、表面には出さないが内面では人を見下したり、馬鹿にしたり悪口ばかり、耳を塞ぎ生垣の中、佳奈花はしゃがみ込む。
亡くなった祖母は言っていた。
人の心が読めるのは悪い事だ、人にそれを知られてはいけない。
あなたは独りで生きて、一生誰も信じるな。
空を見上げ涙を流した佳奈花に、ヤシの木生えた夏の浜辺が見えた。
それは一人の青年の心だった。
佳奈花にはそれはまるで風景が歩いて来るように感じられた。
感想
人の悪意を感じ取り、誰も信じられず一生、一人で生きていくのかと涙した少女、佳奈花の前に広く明るく、そして真っすぐな青年正直が現れる。
この作品はそんなシーンから始まります。
人の悪意に怯えていた佳奈花が、正直や彼の周囲の人々によって信じられる人間もいるのだと打ち解けていく感じが見ていて心地いいです。
騙してやろう、利用してやろう、見下してやろう、そんな心は自分自身を荒ませ、くだらない人間にしてしまう。
逆に真っすぐで優しい心は人をより魅力的な人間に変えていく。
正直を見ていてそんな事を感じました。
まとめ
次回は正直に惚れている沙和(さわ)という女性が登場するようです。
素直になれずツンツンしている沙和と、正直が大好きな佳奈花。
二人の気持ちに全く気付いてないだろう正直。
次巻も面白そうです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はサンデーうぇぶりにて一部無料でお読みいただけます。