紛争でしたら八田まで 3 モーニングKC
著:田素弘
出版社:講談社
大学時代のルームメイト、オクサナの依頼でウクライナにやって来た八田。
民主組織内に生まれた過激派UEDトルィーズブに接触した八田の背後に、銃を持った人影が迫りました。
登場人物
八田洋子(はった ようこ)
八田の母方の祖母
山に囲まれた地方都市、井狩市在住。
穏やかな口調ながらもかなり強かな老婦人。
素行の悪そうな友人と付き合っている八田の妹、サチを心配している。
八田幸(はった さち)
八田の妹
彼女は祖母と一緒に井狩市で暮らしている。
八田は彼女をシスコン気味に溺愛しているが、サチはそんな八田に反発している。(多分、反抗期)
表面上はツンツンしているが、根はとても優しい。
バイクやジオラマ等の機械および立体物の制作に才能を見せる。
イツキ
幸の友人
レディース“西日ノ輪夜叉姫(にしひのわやしゃひめ)”に所属するヤンキー。
愛車は幸の改造した三段シートとカウルの付いた自転車。
幸の親友ではあるが幸の優しい性格を知る為、レディースに誘う事はしていない。
井狩市統一を目指す大規模レディース“井狩北仙女(いがりきたせんにょ)”とは対立関係。
ちなみに西日ノ輪夜叉姫は現在8名。
ディリップ・アグラワル
ムンバイ出身のインド人
インドカルナータカ州ベンガルールに支社を置く日本のIT企業、三陸データに籍を置く優秀な男性。
年収は日本円で一千万近いが何故か会社に借金を申し出る。
イスラム教徒
ゾーラ
ディリップの妻
彼女も三陸データに勤めている。
日本好きで特に新幹線が好きらしい。
イスラム教徒
サンジェイ
ディリップの父親
下水の汲み取りという過酷な環境で働いている。
シュードラ
サンジェイを拉致した組織のボス
あらすじ
橋の上で八田の背後に迫った襲撃者を彼女はスマートフォンの反射で気付き撃退。
しかし襲撃者は一人では無く銃を持った男が二人、新たに車から飛び出して来た。
八田は咄嗟に橋から飛び降りずぶぬれになりながらも、襲撃者から逃れる事に成功した。
その後、震えながら撃退した襲撃者から奪った財布を確認すると、そこにはトルィーズブの旗が映った写真が挟まれいた。
トルィーズブ絡みだという事は、依頼人であるオクサナも危ない。
そう考えた八田は急ぎ彼女のもとへと駆け付ける。
八田が辿り着いた時、オクサナは銃を持った者達に拉致されている所だった。
襲撃者は素人の様だが、持っている銃は本物だ。
格闘の為に近づくには危険すぎる。
建物の角に隠れ様子を窺っていると、何者かが襲撃者に攻撃を仕掛けた。
男のタックルはショットガンを持った襲撃者を弾き飛ばし、オクサナを連れ込んだ車に激突させた。
一瞬、車が浮くほどの衝撃を受けて襲撃者は気絶、その後、車から出て来た運転手も担ぎ上げ地面に叩きつけた。
オクサナを救った人物、それはトルィーズブに所属している筈の元プロレスラー、アルセン・ザ・コサックその人だった。
感想
今回はUEDトルィーズブのお話からスタートし、日本での八田の妹の友人イツキが巻き込まれたレディース達の抗争、そしてインドにおける宗教とカーストの三つのエピソードが収録されました。
トルィーズブのお話は色々考えさせられる物でした。
ウクライナはロシアから独立はしましたが、ウクライナの中にも大国ロシアに帰順しようという勢力もいるようです。
そういう勢力の存在も分からなくはありません。
日本もアメリカという大きな国に少なからず守られている部分はあると思います。
しかし、ウクライナにはウクライナの伝統と歴史があり、ロシアにおもねる事はそういった伝統を捨てる事に他なりません。
国家間のパワーバランスやこれまでの事、これからの事を考えると難しい問題だとは思います。
ですが、大国の都合で歴史や文化が消える事は寂しいし、そこで生きる人々の思いをないがしろにしている様にも感じました。
また、インド編におけるヒンドゥー教のカースト制度(日本の士農工商のような身分制度、身分によってつける職も制限される。法律上は廃止されているが、現在も根強く残っているらしい)は非常に興味深い物でした。
そんなハードなエピソードに挟まれた日本のエピソードは、暴走族同士の縄張り争いの話でツンデレな幸の存在もあり、とても平和的でホンワカした物に感じました。
まとめ
次回はインド編の後半からのスタートです。
八田がどんな方法で問題を解決するのか、今から読むのが楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。