ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン2
著:蝸牛くも
画:足立慎吾
キャラクター原案:神無月登
出版社: SBクリエイティブ GA文庫
ゴブリンスレイヤーがいつもの仕事で手に入れた、魔法の指輪。
台座の宝石の中に灯を灯す指輪の鑑定に紹介されたのは、偏屈な女魔術師でした。
本編の前日談を描く、外伝の第二弾です。
冒頭部分 あらすじ
苔むした石造りの遺跡に小鬼の声と女の叫びが響く。
遺跡漁りの冒険者を捕らえ、男は食料に女は欲望のはけ口にされた。
見張りの小鬼が自分も混ざろうとした時、口をふさがれ喉の上を刃が走った。
自分の血で溺れ、見張りの小鬼は絶命した。
「一つ」
男は小鬼が死んだのを確かめ、剣を血ぶりして鞘に叩き込む。
小鬼の手槍を確認し、それを腰帯に手挟んだ。
死体を隠し、声のする方へ慎重に近づく。
小鬼どもが火で炙られた鉄棒を女の肌に押し付けている。
女をいたぶっていた小鬼の数を確認する。
四匹、うち一匹は巨体だった。田舎者と呼ばれるゴブリンだ。
悲鳴を上げる女を肴に宴を続けるゴブリンに、気づかれないように男は石壁をよじ登る。
そこから小鬼めがけて飛び降りた。鎧兜を纏った重量が小鬼の肉体を地面に倒し、隙を与えず首を踏み折る。
次いで投げられたナイフが喉を貫く。腰の手槍を抜き、背後にいた小鬼を背中から突く。
仲間を殺された田舎者が怒りに声をあげ棍棒を振りかぶった。
叩き付けられた棍棒をかわし、女に声をかける。
女の反応は鈍く、動くことは出来なさそうだ。
男は熱された鉄棒を蹴り、田舎者が熱さに怯んだ隙に懐へ飛び込んだ。
棍棒を手元で受け、勢いを逸らす。同時に右手の剣を小鬼の腹に突き立て捻る。
棍棒を取り落とした小鬼の絶叫を聞きながら、終わったかと油断した彼の頭を田舎者が殴りつけた。
揺れる視界の中で、手探りでつかんだものを叩きつけた。
何度も振り下ろし小鬼の声が途絶え、びちゃと水音が響くだけになって、ようやく男は手にしたものを見た。
そこには小鬼が焚火につかった燃えさしが握られていた。
生存者の娘たちを運び、比較的綺麗な布をかけてやる。
少し待てと言って彼は小鬼の戦利品を漁った。
以前子供の小鬼を見たことがあったからだ。
汚物の中に固い感触を感じた。取り出してみるとそれは指輪だった。
指先で汚れを落とすと、台座に据えられた石の中で灯りが燃えていた。
彼は無造作にそれを雑嚢へ押し込み、次の予定について考えた。
薄汚れた皮鎧と安っぽい鉄兜、左手に括り付けた円盾、中途半端な長さの剣。
彼は辺境ギルドでゴブリンスレイヤーと呼ばれていた。
印象に残ったもの
・弧電の術士(アークメイジ)の言葉
彼女との冒険は、ゴブリンスレイヤーに大きな影響を及ぼします。
彼が口にする「無理や無茶をして勝てるなら、誰だって苦労はしない」は元は彼女の言葉でした。
彼女と共に過ごす事で、ゴブリンスレイヤーはゴブリンの思考や傾向を考えるようになります。
感想
今回のお話は、ゴブリンスレイヤーが魔法の指輪を手に入れた所から始まります。
鑑定を頼んだのは偏屈な女魔術師でした。
依頼を受け、ゴブリン退治を続けるゴブリンスレイヤーは、やがて彼女と共にある塔に赴くことになります。
本編で彼が使っていた巻物や指輪の由来が解るお話でした。
魔女や牛飼娘が初々しく、とても可愛いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。