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ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 第一巻 冒頭部分あらすじ・感想・印象に残ったもの

投稿日:2019年1月1日 更新日:

剣
ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン

著:蝸牛くも
画:足立慎吾
キャラクター原案:神無月登
出版社: SBクリエイティブ GA文庫

ゴブリンスレイヤーが、まだそう呼ばれていなかった頃の初めての冒険を描いた作品です。

本編では淡々とゴブリンを処理するゴブリンスレイヤーですが、この物語ではしくじりも多く、それにより学習した結果が本編につながっていると感じさせる作品です。

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冒頭部分 あらすじ

魔人王との戦いが終結し、世界も秩序側へ幾らか傾いた年。
一つの村がゴブリンに襲われた。
世界全体で見れば、誰の記憶にも残らないであろう取るに足らない出来事だ。
ゴブリンスレイヤーと呼ばれる、男の物語はここから始まった。

姉が姉で無くなってから三日が過ぎた。
小鬼に蹂躙され、肉片となったものを姉と呼べるのか。
動くなと言った彼女はもういない。
息を殺して隠れていた床下から彼は這出した。

固まった関節が強張り痛んだ。
糞尿を垂れ流した下半身がひどくむず痒い。
痛む頭を抱えて彼は室内を見回した。
荒らされた室内で、割れた水がめの底に残った水を貪るように飲んだ。

干上がった体に唯の水はとても甘く感じられた。
両親を亡くした彼は、姉に育てられた。
その姉が、小鬼にもてあそばれ殺されるまでの一部始終を彼は見ていた。
見ている事しか出来なかった。

家の中は荒らされ、過去を思い出すための物は全て破壊されていた。
何かを踏みつけた感触に足元を確認する。
花の模様が入った皮袋。姉の財布には少しばかりの硬貨が入っていた。
それを首から下げ、服の中に落とし込みかつて家だった場所を後にした。

空はどす黒く赤い、今が朝なのか夕方なのか彼には分からなかった。
隣の家の夫婦が、ブランコの代わりに吊られている。
あの子は無事だろうかとふと考え、彼女が街に遊びに行ったことを思い出した。
馬車の残骸がない事から、戻って来てはいないのだろうと考えた。

遠くから騒ぐ音が聞こえる。悔しさに拳を握り、唇をかみしめた。
彼は街道に出て、街に行こうと村の外を目指した。
不意に倒れこみ、起き上がることもままならない。
這いずりながら、ほんの数日前までは走り待っていた藪の中を進む。
いつしか周りは闇が覆っていた。先ほど見た空の色は夕焼けだったようだ。

村の柵までもう少しと言う所で、小鬼の声が聞こえた。
襤褸切れ同然だった服が真新しい布に変わっている。
槍を手に持ち、だらしなく柵に寄りかかっていた。
恐らく見張りだろう。その目が不意にこちらを見た。
見えている。奴らは闇の中でも見えているのだ。

彼は右手に石を握りこみ、立ち上がり投げつけた。
石は小鬼の鼻に命中し、小鬼は悲鳴を上げた。
足元の石を拾い、駆け出す。
無様な仲間を笑っていた小鬼が、槍を手に追いすがってくる。
錆びた穂先が迫るのを、石を握りしめ彼は睨んだ。

「なるほどな」
西から冷たい風が吹いた。
ぴゅうぴゅうと笛の音のような音が聞こえる。
首を切られた小鬼の傷跡から噴き出る血の音だった。
顔にかかる血を袖口で拭う。

「このガキ根性だきゃァある」
酷くしわくちゃな醜い圃人の老人を見た気がしたが、頭に衝撃を受け彼の意識は闇に落ちた。

一つの村が滅びた。
報告として数字の上だけで処理され、村の名前を王が知ることは無い。
おそらく神々も同様だろう。

印象に残ったもの

・初々しいキャラクター達
牛飼い娘や受付嬢、槍使いに魔女、重戦士や女騎士等おなじみの面々の駆け出し時期の姿を見る事が出来ます。

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感想

ゴブリンスレイヤーがそう呼ばれるまでの、始まりを描いたお話でした。

冒険の始まりは一番つらい時期ではありますが、それが一番楽しかったりします。
少しずつ装備を整え、工夫をしていく。
ゴブリンスレイヤーがどのようにして、現在の装備になったかの経緯がよくわかります。

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