死んでもいい
著:櫛木理宇
出版社:早川書房
ホーンテッド・キャンパスの櫛木理宇さんのミステリー短編集。
書き下ろし二本を含む計六篇が収録されています。
各話あらすじ
死んでもいい
河石要(かわいし かなめ)は同じクラスの樋田真俊(ひだ まさとし)が殺された事で警察に任意同行を求められる。
彼は樋田から日常的に暴力を受けていた。
更にナイフを購入していた事も分かっている。
虐めから逃れる為、要が樋田を殺害したと警察は考えたのだろう。
しかし要は、こんな事になるなら僕が殺しておけばよかったと思った。
ママがこわい
梨央(りお)は娘の通う幼稚園に新たに入園してきた親子について、両親に不満を吐き出していた。
その傍若無人な母親と双子の息子たちは、彼女の平穏な暮らしを破壊した。
からたねおがたま
叔父の死をきっかけに悟郎(ごろう)は数十年ぶりに生まれ育った町に戻った。
そこでの元義姉の祥子(しょうこ)との再会が、彼の記憶を呼び覚ます。
その一言を
刑事の守屋は目の前の被疑者に厄介だとため息をついた。
麻生直美(あそう なおみ)と名乗ったその女は、被害者の夫を自分の夫だと言って笑みを浮かべたからだ。
彼女は被害者の夫、麻生正弘(あそう まさひろ)のストーカーだった。
彼女は死んだ
東京で士業に従事している金矢は、三十年の時を経てかつて暮らしていた与里浜町を訪れた。
彼はその町で自分が茫漠としていた少年時代の記憶を思い起こす。
かつてこの田舎町で起こった一つの殺人事件を。
タイトル未定
作家の櫛木理宇はある時、担当者からファンレターを転送される。
其処には自分の熱烈なファンである事と共に、脳内のアイデアを盗作したという訴えが記されていた。
感想
今回収録された作品は、物語的に後味の悪いバッドエンド的な物が多かった様に思いました。
勿論、それが悪いとかでは無く、小説や映画等でも数多く存在する後味悪い系だったというだけです。
ただ、そういう作品が好きではない方には、余りお勧めできないかなと思います。
しかし、逆に言えば後味の悪さの大きさはそれだけ作品にのめり込んでいた証とも思えます。
登場人物に自分を投影していたからこそ強くそう感じた訳ですし、文章や構成の巧みさがそれを生んだのだと感じます。
まとめ
後味が悪いと感想には書きましたが、作品自体はとても面白く読む事が出来ました。
絵の無い小説だから出来る展開がとても楽しかったです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
作者の櫛木理宇さんのTwitterはこちら。