小説 短編小説

新宿もののけ図書館利用案内 1

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図書館新宿もののけ図書館利用案内 メゾン文庫
著:峰守ひろかず
画:Laruha(ラルハ)
出版社:一迅社

都内の公立図書館に臨時職員として勤めていた末花詞織(すえはな しおり)は、人件費削減のあおりを受け突然解雇を言い渡されます。

事前通告も無く四月から無職という状態になった詞織は、司書を続けたいという思いからネットで見つけた妙に待遇のいい図書館の面接を受ける事にしたのですが……。

登場人物

末花詞織(すえはな しおり)
本姫図書館司書
ウェーブのかかったセミロングの髪の童顔の女性。
大学で資格を取得し卒業後ずっと司書として働いてきた。
大人しい性格で本姫図書館に面接を申し込んだのも、司書以外の仕事をした事が無いという消極的な理由だった。

牛込山伏町カイル(うしごめやまぶしちょう かいる)
本姫図書館 館長代理
線の細いメガネの青年。
男性としては長髪で髪質は柔らか。
図書館の主「本姫」に館長代理を強引に任された為、本好きなだけで運営に関しては素人。
だが真面目な性格であり図書館の改善にはかなり意欲的。

本姫
本姫図書館 館長
ルーツは将軍の側用人、牧野備後守成貞(まきの びんごのかみ なりさだ)の娘、松子。
松子は本姫と呼ばれる程、本好きで彼女の死後、埋葬された全勝寺の墓から朗読する声が聞こえたという。

墓前に集めた本を収めた経蔵が設けられ、そこから民衆が誰でも本を借りることが出来た。
借りた者は本好きの本姫様の為に別の本を一冊付けることが決まりとなった。

本姫図書館はその本姫が設立した図書館。

まつり
シックで上品なワンピースを着た少女
本姫図書館に絵本を探しに訪れる。

内藤ビコンド(ないとう びこんど)
化け猫
歌舞伎町界隈で遊び歩く酒と女が大好きな化け猫。
人としての見た目は三十代半ばの中肉中背の男。
オレンジの生地に招き猫がプリントされたアロハを愛用。
金や銀の安物のアクセサリーを多数身に着けている。
駄目オヤジっぽいが、苦界にある女性を助ける事を趣味にしている、憎めないおじさん。

奪衣婆(だつえば)
新宿で金貸しを営む
東新宿にある奪衣婆像が金貸しの神として信仰された事で妖怪化した。
そういう背景もあり彼女の取り立てはかなり苛烈。

緒川梨花子(おがわ りかこ)
詞織の以前の同僚
ストレートのロングヘア、キリっとした眉のハキハキした女性。
大学図書館に勤めている。
首を切られ落ち込んでいた詞織を心配していた。

地蔵坂ジオゴ(じぞうざか じおご)
化け狸
金重亭団五郎(きんじゅうてい だんごろう)の名で高座に上がる落語家。
現在は二ツ目で兄弟弟子の門前タンニ(もんぜん たんに:化け狐)が急に腕を上げた事を気にしている。

門前タンニ
化け狐
金重亭賛吉(きんじゅうてい さんきち)の名で落語家として活動している。
ジオゴの同門で弟弟子。

各話あらすじ

第一話 初めて図書館に来られた方へ
職を失った詞織は司書の仕事を求め、新宿の本姫図書館へ面接を受けに向かう。
メールに記された複雑な手順を踏んで辿り着いた先には、巨大な木造建築、漆黒の焼き板と瓦葺の屋根の何処かお寺を思わせる建物が建っていた。

恐る恐る中に入ると、内部も一昔前の作りで古めかしい。
詞織は受け付けが無人であった為、職員を探して奥に進んだ。
薄暗い館内で人を探し歩いていると、利用者と思われる老人が気付き読んでいた本から顔を覗かせた。

本に隠れ見えなかった顔には赤いビー玉の様な目が八つ横に並んでいた。

第二話 館長代理は席を外しております
妖怪も利用する図書館。
本姫図書館で試用期間三ヶ月の約束で働きはじめた詞織。

初出勤の緊張を出勤途中で見かけた猫を撫でながら話しかけ、その緊張をほぐすと彼女は図書館へ向かった。

今まで勤めて来た図書館との違いに戸惑いながらも、詞織は司書の務めを果たそうと張り切るが、カイルは余り詞織に仕事を振ってくれず、更に図書館は利用者も少なく暇だった。

彼女はその事に少し物足らなさを感じてしまう。

第三話 お借りの本は返却起源を過ぎています
カイルの正体も分かりお互いの考えも話し合った詞織は、二人で力を合わせ少しづつ図書館を使いやすくしようと気持ちも新たに働き始めた。

そんな時、一人の少女が絵本を探しに図書館を訪れる。
彼女が求めた本は確かに蔵書として図書館には有ったが、現在は貸し出し中で返却期限を大幅に超過していた。

第四話 落語会のお知らせです
レファレンス(相談事・調べもの)を受ける様にした本姫図書館。
だが、図書館には圧倒的に辞書、辞典の類が不足していた。

本姫図書館は本を借りた者が返す際に一冊本を図書館に寄贈するのがルールだ。
しかし、それでは利用者の嗜好で本が増える為、かなり蔵書が偏ってしまう。

その偏った蔵書を改善するため、詞織はカイルと二人、辞書と辞典を買いに出る事になった。
待ち合わせたカイルと私服を褒め合うという、ぎこちない挨拶を交わして本屋に向かう。

途中、詞織の知り合いと遭遇したりしながら本屋に向かっていると、妖怪の話をしていたカイルが鼻を鳴らした。
妖怪の匂いを感じたカイルに声を掛けてきたのは、着物姿の小太りの青年だった。

第五話 館内ではお静かにお願いします
噺家の狸、地蔵坂ジオゴの相談を解決し、その流れで落語会を定期的に開く様になった本姫図書館。
妖怪の中には字が読めない者もいる為、落語会は盛況で図書館の利用者も徐々に増えつつあった。

それはいいのだが、そろそろ試用期間の三ヶ月も終わりに近づいていた。
詞織は本姫図書館の仕事は気に入っていたが、危険な者もいるという妖怪の存在、また試用期間の事を聞かないカイルの事もあり、このまま続けるべきか悩んでいた。

そんな時、図書館に自分が誰か調べて欲しいという男性が訪れる。

感想

こちらの作品も峰守さんの他の著作と同様、妖怪は人の想いから生まれています。
六道先生では都市伝説等の逸話が妖怪を生み、金沢古妖具屋では物に関連した妖が活躍しました。

本姫図書館では図書館を舞台に、司書である詞織と館長代理のカイルが利用者の悩みや問題を解決するといった内容になっています。

本は出版元が絶版にすると手にする事が難しくなる品物です。
ベストセラーであれば、絶えず重版がかかり本屋さんから消える事はありませんが、マイナーであったり売れ行きが良くないと一瞬で店頭から消え読む事が出来なくなってしまいます。

そんな時、図書館の存在はとてもありがたい物です。
県立や市立の図書館に漫画はさすがに置いていませんが、小説等は絶版作品でも取り揃えていたりします。

そんな作品の中には、なんでこれが絶版なのと首を捻りたくなる様な面白い物も多く存在しています。
紙の本は印刷コストもスペースも必要だし、電子書籍であってもサーバー維持費等の費用は必要なので致し方ないのでしょうが、読まれずに消えていった作品の事を思うと少し寂しさを感じます。

まとめ

館長代理のカイルは妖怪なのですが、正体はメジャーな妖怪のクォーターです。
内容に触れるので明言は避けますが、私もモフモフしたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作者の峰守ひろかずさんのアカウントはこちら

※イメージはPixabayのGiacomo Zanniによる画像です
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