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六道先生の原稿は順調に遅れています 第二巻 登場人物・あらすじ・感想

投稿日:2020年1月31日 更新日:

海と町
六道先生の原稿は順調に遅れています 2

著:峰守ひろかず
画:榊空也
出版社:KDOKAWA/富士見L文庫

詠見(えみ)が担当した六道(ろくどう)の作品、短編集「市井」が新設された文学賞で大賞を受賞します。
その事が切っ掛けで六道に二時間ドラマの脚本の依頼が舞い込みます。

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登場人物

踊場漂吉(おどりば ひょうきち)
新進気鋭の若手作家
あらゆるジャンルを網羅し筆が早い。
エンターテインメント性の高い作品を多く執筆している。
セットされた髪にピアスと現代の若者といったイメージがピッタリの青年。

城田藍子(しろた あいこ)
ベテラン挿絵画家
仕事の幅は広く小説の表紙からパンフレットの挿絵まで依頼があれば何でもこなす。
今回、六道の作品を再販するにあたり、以前表紙をお願いした城田に再度、詠見は表紙絵を依頼した。

興野沙那(おきの さな)
大学水泳のホープ
六道が昔書いた児童文学「陽光の海」のファン。
陽光の海を読んだ事が興野の人格形成に多大な影響を与えた。
ポジティブで過去を振り返らない明るい性格。
ただそれは生来のモノでは無く、理想に近づきたいと願う彼女自身の努力の賜物。

冒頭あらすじ

詠見が担当した連載作品「市井」を纏めた短編集が、大手オンライン書店と書評サイトが合同で新設した文学賞「読みたい本大賞」で大賞を受賞した。

それは喜ばしい事なのだが問題は授賞式。
六道は四十年以上のキャリアを持つベテラン作家だが、妖怪である為見た目は二十歳前の童顔の青年だ。
当然、人前に出る訳にもいかず授賞式は詠見が彼の書いた原稿を読み上げる形で乗り切る事になった。

その授賞式で詠見は六道と同じく大賞を受賞した若手作家、踊場漂吉と出会う。
彼は六道に興味津々の様で詠見に六道の事を根掘り葉掘り尋ねた。

後日、持ち上がった大賞の受賞者にドラマ脚本を書いてもらうという企画で六道に白羽の矢が立つ。
内容はテーマが詳細に決められた物だった。

六道は物ノ気(想い等が凝り固まった妖怪の幼生体)を食べ、その想いを受けないと書く事が出来ない。
それを知っている詠見は同じく受賞者の踊場を推すが、売れっ子の彼はスケジュールが一杯で手が回らないらしい。

仕方なく六道の家に向かった詠見に見知らぬ青年が声を掛ける。
ナンパかと身構えた詠見だったが、青年は授賞式で挨拶した踊場漂吉だった。

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感想

今回は「カミキさん」という都市伝説がメインテーマとしてあり、その上に別の不思議を乗せる形で物語は描かれました。

今作では六道の書いた物語により影響を受けた人物が何人か登場しました。

本や物語が人に与える影響は様々です。
ただ楽しみ通り過ぎるだけの人もいれば、それが人生の指標になる人もいるでしょう。

私は本は自分以外の人生を追体験させてくれる物だと思っています。
そこから何を得るのかはその人の状況によって変わると思いますが、考え方の多様性を得るという事ではかなり有効な方法だと感じます。

一つの考えに凝り固まると一つの道しか見えなくなり、その道が行き詰まれば終わった様に感じてしまうでしょう。
多様な価値観や考え方を持つ事で、見る角度が変わり生きるのが多少楽になる様な気がします。

まとめ

今回、登場した興野沙那という人物に好感を覚えました。
彼女は作中、ある怪異に襲われ負傷するのですがその事に拘泥せず今何が出来るか先を見つめます。

それは六道が書いたキャラクターに彼女が憧れ、少しでも近づく為に自分の心を律した結果でした。

不安を振り切り笑う沙那はとても素敵でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作者の峰守ひろかずさんのアカウントはこちら

※イメージは ぱくたそ の Mizuhoさん による画像です。
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