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ゴブリンスレイヤー 第八巻 冒頭部分あらすじ・感想・印象に残ったもの

投稿日:2018年12月30日 更新日:

ダンジョン
ゴブリンスレイヤー8

著:蝸牛くも
画:神無月登
出版社: SBクリエイティブ GA文庫

「来てしまいました」
辺境ギルドでゴブリンスレイヤーを待っていたのは、剣の乙女。
水の都、至高神の神殿の大司教だ。

道中の護衛を依頼された一行は、彼女と共に都へ向かうのだった。

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冒頭部分 あらすじ

小舟が波にもまれている。
女神官は攫われぬように、舷にしがみついた。
その指が滑り、手が外れる。足をとられた彼女の手を武骨な革籠手が握りしめる。

落ちたら溺れ死ぬぞ、踏み止まれ。ゴブリンスレイヤーの言葉に彼女は何度もうなずいた。
嵐の中、巨大な影が波間に見える。大海蛇が威嚇するように牙をむいていた。

妖精射手が揺れる船上で飛び回りながら矢を放つ。
しかし鱗と粘液に阻まれて、何の痛痒も与えてはいない。

妖精射手が鉱人道士になんとかしろと叫ぶが、彼の術も大海蛇にどこまで通じるか分からない。
なにより触媒の入った鞄を、取り落とさないようにするだけで精いっぱいだ。

ゴブリンスレイヤーは足元の銛を蜥蜴僧侶へ蹴り、自身も銛を大海蛇へ投げ込んだ。
銛は見事突き刺ささり、大海蛇は体液を流す。

しかし銛一本程度では、大海蛇を止める事は出来なかった。
蛇はその咢を船首に突き立てる。音を立てて船首は砕かれ小舟に海水が流れ込む。
船に食らいつく大海蛇に、女神官は大地母神に祈る。
彼女の祈りに応え、聖壁が大海蛇を船から弾き飛ばした。

その隙をついて、蜥蜴僧侶が銛を投げ放つ。
只人とは比べるべきもない肉体から放たれた銛は、大海蛇の胴体に深く突き食い込んだ。
蛇はたまらず海に逃げ込んだ。

急場は凌いだものの、奴を斃さねば港に帰り着くことは出来まい。

ゴブリンスレイヤーは一党に素早く指示をだす。
それを受けて妖精射手が鏑矢を放った。
天に向けて放たれたそれは、嵐を物ともせず甲高い音を響かせた。

音にひかれた大海蛇がその巨体を、海面にのぞかせる。
それに合わせた、女神官の聖光が海蛇の目を焼いた。

更に蜥蜴僧侶が銛を再度、大海蛇に打ち込む。
最後に鉱人道士の水上歩行の呪文が飛び、大海蛇は海面に弾き出された。

鰓呼吸の生物が海面に投げ出されれば、後は窒息するしかない。
妖精射手が放った矢が眼窩を貫き、大海蛇は息絶え、海に沈んでいった。

ゴブリンスレイヤーが、これはどうだと妖精射手に尋ねる。
彼女は唸りながら六十点と返した。
その後、鉱人道士の術で追い風を起こし、船は港へ向かった。

海ゴブリンが漁場に出る。そう聞いてゴブリンスレイヤーは漁村にやって来た。
だがそこにいたのはゴブリンではなく、鰓人だった。

彼らに漁場を荒らしているのは、大海蛇だと聞き、ゴブリンスレイヤーは帰ろうとしたが、女神官に押し切られる形で、大海蛇退治に繰り出したのだ。

漁村の依頼をこなしたゴブリンスレイヤーは、ギルドにて受付嬢に報告する。

「えっと、海ゴブリン退治の依頼は…」
「ゴブリンではなかった」
「そう呼んだほうがわかりやすいらしくて…」
「ゴブリンではなかった」
「あの依頼は…」
「ゴブリンではなかった」
「…キャンセルですね。」
「ゴブリンではなかったからな」

印象に残ったもの

・女神官の鎖帷子
今回、彼女の装備一式が奪われるという事件が起きます。
その時の狼狽具合から、彼女がどれほど鎖帷子を大事にしていたかが窺えます。

なんの魔法効果が無くても、幾たびもの戦いを一緒に潜り抜け、彼女の命を救い、そしてゴブリンスレイヤーにとっては何気ない一言でも、初めて彼が女神官を褒めた装備は、彼女に取ってかけがえのない宝になっていたのでしょう。

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感想

剣の乙女の依頼で、一行は都へと赴きます。

そこで王妹殿下がゴブリンに攫われるという事件が起きました。
国の威信もあり、彼女の救出に軍隊を出す訳にもいかない王は、冒険者を頼りました。
依頼を受けたゴブリンスレイヤー達は、王妹殿下が連れ去られたという死の迷宮に向かう事になります。

死の迷宮は地下四階から下に降りるために、青い飾り紐が必要だったり、昔は試練場だったという噂があったりと、狂王の試練所を思わせる描写が、出てきます。

今回も白粉、つけ耳ネタが出てきたりと、オールドゲーム好きには堪らないお話となっています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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