ゴブリンスレイヤー7
著:蝸牛くも
画:神無月登
出版社: SBクリエイティブ GA文庫
「結婚することになったみたい。」
妖精射手に届いた手紙で一行は森人の里に向かうことになった。
牛飼娘と受付嬢を加え、彼らは筏で川をさかのぼる。
しかしそこには船を狙う、ゴブリンの姿があった。
冒頭部分 あらすじ
「結婚することになったみたい」
冒険者がギルドに届けた手紙の中に、妖精射手に宛てた物があり、それを読んだ彼女の言葉が先ほどのものだった。
誰ととの問いに妖精射手は従兄と、と答える。
びっくりよね、すっごい堅物だったのにと続けた。
女神官がおめでとうございますと声をあげる。
結婚式は行われるのか問うと、派手にやるからぜひ来てと返した。
蜥蜴僧侶が、では妖精射手殿とはこれでおさらばですかな。寂しくなりますなぁと言う彼に、なんで私がお別れすることになるわけと不思議そうだ。
忙しくなるのではの問いに、お産や子育てするのも、二、三百年先と言った。
上の森人の時間間隔に雄大ですなぁと、蜥蜴僧侶は感心している。
女神官が危険なことをするのを旦那様は許してくれるんですかと聞くと、従兄が許す訳がないと返した。
なんだか噛み合わない会話にゴブリンスレイヤーが尋ねる。
「誰が結婚するのだ」
ねえ様と答えた妖精射手の尻を、鉱人道士が思いっきりはたく。
それを先に言わんかいと言う鉱人道士に、妖精射手が言い返す。
いつものやり取りが始まったので、女神官はゴブリンスレイヤーに視線を向けた。
俺はと全て言い切るまえに、駄目ですと笑顔で言い放つ。
お祝いごとに招かれたのだから、行かないのは駄目ですと続ける。
そうかもしれんがと言うゴブリンスレイヤーに、依頼は他に回してもらいましょうと、にこにこしながら言った。
受付嬢に話を通していると、ギルドの監査官が彼女に言う。
彼女も結婚式に誘うつもりなのでしょう。
勿論と妖精射手が答えると、受付嬢は仕事がと歯切れが悪い。
休みも兼ねて貴女も一緒に行きなさい。
監査官は続けて言う、この子が安心して行けるように、ゴブリンの巣を二、三潰してもらえますか。
それにゴブリンスレイヤーは答える。
「無論だ」
印象に残ったもの
・森人の里と彼女の笑顔
訪れた自分の故郷を紹介する、妖精射手の笑顔が、文章とイラストそのどちらも素晴らしく、印象に残りました。
小説はそれぞれの頭の中に、文章で生み出されたキャラクターや風景が浮かび、実際映像化されるとこれじゃないと感じる事が多々ありますが、この作品においては相乗効果を生み出している気がします。
・地母神の怒り
作中、女神官の祈りが、神の怒りを買うシーンがありました。
ファンタジーにおいて、神の教義は様々ですが、地母神の教えは愛を説いている場合が多いと感じます。
ソード・ワールドのPCゲームで、他の教会はパーティーに信者がいないと、協会に入ることすらできないのに、地母神だけは誰でも入れたことを思い出します。
その時から、なんとなく地母神には好感を持っています。
今回の彼女の行いは、その優しい神の逆鱗に触れたのでしょう。
感想
森人の里が今回の舞台です。
妖精射手があまり森人らしくないので、気位の高い森人はこの物語では初登場ではないでしょうか。
また街から離れ、森人の里に赴くことで、ファンタジーの世界を色濃く感じます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。