小説 小説短編

後宮の烏 2

投稿日:2019年8月31日 更新日:

月と梟後宮の烏 2
著:白川紺子
画:香魚子
出版社: 集英社 集英社オレンジ文庫

後宮の最奥、夜明宮(やめいきゅう)と呼ばれる殿舎に住む烏妃(うひ)寿雪(じゅせつ)の物語。
女仙とも幽鬼とも噂のある彼女だが、それでも一縷の希望を求めて人は寿雪の元を訪れる。

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登場人物

柳寿雪(りゅう じゅせつ)
今代の烏妃
烏妃とは女神、烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)に仕えていた巫婆の末裔ともいわれる伽をしない妃。
招魂、念力等の不思議な力を使える巫婆の様な存在。

ただ、その力は万能ではなく、彼女を頼る者に落胆と失意を与える場合も多い。
彼女の場合、わざとそうしている節もあるが…。
また、貧しい生い立ちの為、結構食いしん坊。

夏高峻(か こうしゅん)
現皇帝
幼少時代は宮廷の権力闘争に巻き込まれ母と友を亡くした。
その時の影響で余り気持ちを表に現さない。
事件を通じて王朝の成り立ちを知り寿雪の友となる。

衛青(えいせい)
高峻の側近、衛内常侍
宦官で能吏、お茶をいれるのが上手い。

星星(シンシン)
金の羽根を持つ鶏
次代の烏妃の選ぶ役割を持つ。
初めて星星を見た寿雪は丸々太った星星を美味そうと思ってしまい、それ以来警戒されている。

九九(ジウジウ)
可憐な顔立ちの宮女
事件を通じて夜明宮付きの侍女になる。

麗娘(れいじょう)
先代烏妃
寿雪に宮中の作法や言葉遣い、烏妃の役目や術を教えた。
寿雪の喋り方が堅苦しく古いのは彼女の所為である。

蘇紅翹(そ こうぎょう)
先代皇帝の妃嬪の一人、班鶯女付きの元宮女
三十代で穏やかな性格の女性
声を奪われ病の床についていた所を事件を探っていた寿雪に救われ、夜明宮で働く事になる。

温螢(おんけい)
衛青の部下の宦官
衛青の命で寿雪の護衛を務める
頬に傷跡のある美形

花娘(かじょう)
鴛鴦宮(えんおうきゅう)の妃
彼女の祖父は高峻の側近であり師でもある。
彼にとっては姉の様な存在。

薛魚泳(せつ ぎょえい)
神祇を司る冬官の老人
烏漣娘娘についてや過去の事を知っている。

青燕 あらすじ

その夜も夜明宮に来客があった。
一人は若い娘。彼女は寿雪に反魂を願った。
しかし寿雪に出来るのは招魂、一度だけ死んだ魂を呼ぶだけだ。

それを告げた娘が泣き崩れ宮を去った後、幼い宦官が夜明宮を訪れた。
衣斯哈(いしは)と名乗った少年は飛燕宮の見習だという。

座る様に命じるが衣斯哈は座ろうとしない。
寿雪が何かに気付き彼の足を服を脱がせ見ると、太腿の裏が痣だらけになっていた。

棒で折檻を受けているようだ。
彼はその理由を「言葉遣いで師父を怒らせてしまうせいです」と答えた。

衣斯哈は海の近くの出身でそもそも言葉が違う。
普通に話すだけでも一苦労だろう。
寿雪は九九と共に彼を治療しここに来た理由を聞いた。

飛燕宮の庭に自分と同じ年ごろの子供がずっと立っている。
衣斯哈は寿雪にそう答えた。

水の聲 あらすじ

高峻は冬官の老人、薛魚泳の元を訪れた。
目的は彼から先代烏妃の麗嬢や寿雪の事を聞くためだ。

高峻は先の事件によって王朝の成り立ちや烏妃の生まれた理由を知った。
のらりくらりと質問をかわす薛魚泳を高峻は追及し、麗嬢についてや彼の過去を聞きだした。

そして最後に高峻は薛魚泳に寿雪に会ってやってくれと頼んだ。

深夜を烏妃を呼ぶ声で寿雪は目を覚ました。
部屋を出た彼女が見たのは先帝の妃、鵲妃の侍女で安と名乗る老女だった。

老女は鵲妃、西婉琳を救って欲しいと寿雪に願った。

仮面の男 あらすじ

朝議の後、高峻は臣下である何明允(か めいいん)からとある仮面の話を聞いた。
その仮面は儀式で楽人がつける物なのだが、手に入れた商人はそのボロボロの仮面を付けてみたらしい。

するとその面の目の穴から見えた先に男の背中が見えたという。
さらに商人は宴を開き酔った勢いに任せ、再び面をつけたらしい。
すると向こうを向いていた男が振り返ったというのだ。

高峻は寿雪に見せてやろうと、その面を商人から借り受けることにした。

想夫香 あらすじ

夜明宮の側で宮女が襲われ死んだ。
喉を食いちぎられ周囲には血が散乱していたという。

その話を侍女の九九から聞いた寿雪は冬官の薛魚泳の元へ話を聞きに行く道すがら、護衛をしている温螢に何か知らないか尋ねた。

温螢は話題を持って来た九九に対して少々小言を言いつつもそれに答える。
実は宮女の死体を見つけたのは温螢で喉は食いちぎられていたが、その歯型は野犬や狼ではないという。

さらには傷の大きさにしては周りに散乱していた血の量が少ないと温螢は話した。

感想

前巻では王朝の成り立ち、烏妃とは何か、何故、後宮の奥で何もせず、何も求めず生きねばならないのか等が語られました。

今巻では前巻と同じく後宮で起きる事件を追いながら復讐を遂げた高峻の想い、さらには烏漣娘娘の秘密の一端が垣間見えます。

先代烏妃、麗嬢の教えから表面上はとても素っ気無く冷たく人に接しようとする寿雪ですが、内面の暖かさや優しさが噴き出ている様に感じました。

特にラストのシーンは心が氷解するような気持になりました。

まとめ

物語は烏漣娘娘とは何か、ひいては烏妃という存在がどうして出来たかが少し分かってきました。
今後の展開が気になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※イメージはPixabayの_vane_による画像です。
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