コーヒームーン 2
著:牡丹もちと
出版社:KADOKAWA
同じ日を繰り返す少女ピエタ。
その日々に友人の駄苗が加わった事でピエタは今まで接点の無かったクラスメイト、キアロと知り合います。
そのキアロに男が銃を向けた時、ピエタは思わず彼女の前に飛び出していました。
登場人物
同じ顔の少女
ピエタと同じ顔をした謎の少女
ピエタの願いを叶え助言を与える。
彼女の姿はピエタにしか見えない。
アドルフ・シーレ
新興宗教「朔望の光」の実働部隊に所属する男
黒髪の青年。
キアロとその父親で市長のテネブリズムの暗殺を目論む。
朔望の光は六年前、話題となった奇跡を起こす少女が切っ掛けとなって生まれた宗教団体。
昨今は貧富の差に異を唱えている。
奇跡を起こす少女
宗教団体「朔望の光」の切っ掛けをつくった少女
少女は不思議な力を持ち触れただけで傷や病を治した。
ピエタと同じく自分にしか見えない、自分と同じ姿の少女を見ていたらしい。
奇跡はそのもう一人の自分に願う事でなされていたようだ。
話題となった三年三か月後、消息を絶つ。
レオナ・ウィンチ
ピエタと同じ学園の女子
黒髪ツインテールの女の子。
富豪であるキアロとの友人関係を望んでいる。
それだけ聞くとアレだが、意外と友人思いで面倒見のいい少女。
ニケ
ピエタと同じ学園の女子
ゆるふわショートの小柄な少女。
芸術家タイプ。
立体造形に素晴らしい才を見せるが、それ以外にはズボラ。
レオナはそんな彼女の世話を甲斐甲斐しく焼いているらしい。
あらすじ
暴漢に銃で襲われたキアロの前に飛び出したピエタ。
しかし、慌てた為かキアロの乗っていた車の開いたドアに顔から激突してしまう。
そんな彼女の目の前をゆっくりと弾丸が進んでいた。
呆然とそれを眺めるピエタに、突然現れた自分と同じ顔の少女が早く取ればとピエタを促す。
彼女の言葉に従い空中の弾丸を握るピエタ。
その後も銃から吐き出される弾丸(銃はベレッタのドルフィンモデル、フルオート可能なマシンピストル)をピエタは全て回収。
その銃の情報を教えてくれた少女が去ると同時に、止まっていた時間が流れ出す。
襲撃に失敗した事を悟った暴漢は逃亡。
その後、キアロが警察に通報したり、ピエタが持っていた銃弾に驚いたりしたが、ともかくキアロは殺される事無くまた明日と帰っていった。
ピエタは帰宅後、ベッドの中で自身の影の様な少女の言葉を思い出す。
人の「幸せ」は相対的な物、キアロはその日、ピエタという友人を手にいれた。
それは彼女が本当に望んでいたもの。
だからその得た幸せの分、彼女は不幸にならなければならない。
布団にくるまりながらピエタは思う。
幸せだからって不幸な目にあっていいわけない。
もし影の言う通りの世界なら、私の分の幸せをキアロさんに分けてあげたいな。
私は不幸になれてるから……。
眠りに落ちたピエタの側に現れた影の少女は、そんなピエタを愚かだと言いつつも彼女の望みを叶えると静かに告げるのだった。
感想
今回はキアロの襲撃から始まり、ループに加わったキアロ、キアロの父親の暗殺阻止、新たな友人、そして一人になったピエタ等が描かれました。
この巻では友人との時間を過ごした事で、同じ日の繰り返しで良しとしていたピエタの心に、次の日に行きたいという気持ちが芽生えました。
しかし、そのループしていた仲間との日々さえ巻き戻され、彼女は一人になってしまいます。
作中、一巻の終盤で影が語った言葉。
幸せは相対的。
ピエタが過ごした友人達との時間。
その時間が幸せであればある程、巻き戻り何も覚えていない友人と会う日々はピエタの心を苛んでいるようでした。
二巻ではループを生み出しているのはピエタ自身の力っぽい事。
ただ、その力はピエタでは無く影が使っている事などが分かりました。
読んでいて私なりに分かった事を纏めると、
一日の幸せの総量は決まっていて、それを超えた幸せは苦痛として受けなければいけないという感じでしょうか。
なんにしても、誰かが泣いているのは嫌なのでピエタ達には幸せになって欲しいです。
まとめ
少しずつ何が起きているのか、その法則的な物は分かってきました。
ただ、どうしてそうなったのかは未だ不明のままです。
次巻で一旦の区切り様なので、その辺も判明するのかなぁと想像しています。
こちらの作品はComicWalkerにて一部無料でお読みいただけます。
作者の牡丹もちとさんのTwitterはこちら。
お読みいただき、ありがとうございました。