DYS CASCADE ~ディス カスケード~ 3 KCデラックス
著:中川海二
出版社:講談社
管内で発生した猟奇殺人事件を追うベテラン刑事、三坂重遠(みさか しげとう)と女刑事、宇賀田怜悧(うがた れいり)。
警察署の駐車場に血と自身の左腕を残した男、馬場淳(ばば あつし)の死により事件は更に複雑さを増した。
馬場が残したメモに書かれた12人。
その12人は、内ももを切り殺害するという猟奇殺人鬼の被害者だと考えられる。
被害者たちと同じ状況で死んでいた馬場。
馬場は何を伝えたかったのか。
三坂と怜悧は今回の猟奇殺人、古田美輪子(ふるた みわこ)殺害の容疑者の一人である吉野コウ(よしの こう)に会うため、四国へと向かう。
登場人物
後藤信二(ごとう しんじ)
遠木県警捜査一課OB
黒髪で四角い顔のおじさん。
1990年五月、手首を縛られ全裸の状態で見つかった被害者、広村千代(ひろむら ちよ)殺害の犯人として吉野コウを逮捕した。
後藤は吉野コウがクロだと断定しており、今回の古田美輪子の件も吉野の犯行だと考えている。
萩本芳雄(はぎもと よしお)/吉野コウ
刑期を終え出所した吉野コウは萩本と名乗り、四国の工場で働いている。
気弱そうな黒髪そばかすの男性。
広村千代殺害についてまだ未熟だったDNA鑑定で容疑者として浮上し逮捕、警察の取り調べに疲れ、殺害を認めてしまい有罪判決を受けた。
彼を受け入れた工場の経営者は、彼が無罪であると信じているようだ。
古田美輪子が殺害された4月18日から20日は、工場に出勤し働いていた。
渡辺広枝(わたなべ ひろえ)
馬場のリストにあった12人の内の一人
1978年、当時31歳で行方不明。
庄盛麻奈美(しょうもり まなみ)
馬場のリストにあった12人の内の一人
1979年、当時22歳で行方不明。
谷野里奈(たにの りな)
馬場のリストにあった12人の内の一人
1980年、当時25歳で行方不明。
行方不明の三人はいずれも遠木県に住んでいた。
三人とも髪が肩より長い。
あらすじ
古田美輪子殺害の容疑者の一人、吉野コウに会うため、三坂と怜悧は四国へと向かった。
その四国出張の前、吉野が逮捕起訴される原因となった事件、広村千代の殺人事件を担当した警察OB後藤の話では、犯人は吉野で間違いないという事だった。
後藤は1980年の川辺涼香(かわべ りょうか)の殺害についても犯人は吉野だと断定しているようだった。
ただ、吉野逮捕の証拠となったDNA鑑定について、当時の技術では1000人中の一人を特定する程度の精度しかなく、冤罪である可能性も十分考えられた。
そんな背景の中、二人が四国で会った萩本(吉野)は気弱そうな男だった。
萩本は広村千代殺害については自分がやったと認め、もう罪は償ったのだから放っておいて欲しいと二人に話した。
その口ぶりからは全部終わった事にしたいという、諦めのようなものが感じられた。
感想
今回は過去に起きた内もも切りの加害者として逮捕された吉野コウへの聴取のための四国出張から始まり、冤罪の可能性、内もも切りの被害者の姉、山久早苗との話、携帯電話に残された馬場と古田のやり取り、真犯人判明等が描かれました。
今回はその中でも吉野コウのエピソードが印象に残りました。
吉野は一年に渡り進展の無かった警察の焦りから、精度の低いDNA鑑定により犯人とされた人物でした。
現実でもある冤罪問題。
作中描かれた警察の威信的な考え方。
事件解決への焦りと世間からのプレッシャーなどから、信じたいものを信じてしまったのだろうなとエピソードを読んでいて感じました。
まとめ
この巻の終盤、真犯人として意外な人物が浮上する事になりました。
怜悧や三坂とも面識のあったその人物がどんな気持ちで二人と話していたのか。
次巻では馬場と古田の行動とそれぞれの事件の経緯、真犯人の心情などが描かれるようです。
物語がどう展開していくのか、次も楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
作者の中川海二さんのTwitterアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。