ゴブリンスレイヤー4
著:蝸牛くも
画:神無月登
出版社: SBクリエイティブ GA文庫
ゴブリンの駆逐に血道を上げる男、ゴブリンスレイヤーと、彼を取り巻く人々の日常を綴った短編集。
各話 あらすじ及び感想
一章
新米戦士と見習聖女のお話です。
駆け出しの時に付き物の、金欠と装備にまつわる物語。
ジャイアントローチに武器を奪われた新米戦士は、苦手意識のあったゴブリンスレイヤーにアドバイスを求めます。
彼の選んだ武器とは…。
ゲームでは序盤は装備の調達に苦労しますが、実はそこが一番楽しかったりします。
第二章
冒険者に憧れる少年のお話。
開拓村の少年は冒険者に憧れ、姉に買ってもらった木剣を手に、行くなと注意された東の森へ足を踏み入れます。
そこには初めて見る、ゴブリンの姿が…。
姉の存在や、幼馴染の女の子といった、ゴブリンスレイヤーの過去を思い出させるお話でした。
第三章
ギルドに併設された酒場で、給仕を務める獣人のお話。
冒険を終えて帰ってきた冒険者たちが、疲れを癒す様子と、獣人女給が思いを寄せる、工房丁稚の少年とのやり取りが描かれます。
一仕事終えた後、ほっと一息つける場所があるというのは、大切ですよね。
第四章
ゴブリンスレイヤーに狩られる、ゴブリンからみたお話です。
この物語におけるゴブリンの思考や生態が綴られています。
ゴブリンにとって、彼らの思考パターンを熟知し、あらゆる手段を使い巣を駆除する、ゴブリンスレイヤーは恐怖の対象でしょう。
第五章
牛飼娘と女神官のお話です。
二人が武器屋でビキニアーマーを見たり、ゲームに興じたりしながら、ゴブリンスレイヤーについて話ます。
ビキニアーマーについては、ゴブリンスレイヤーが言っていたように防御力は皆無でしょう。
しかしファンタジーにおいては、ロマン装備として無くなることは無いのでしょう。
第六章
辺境ギルドの銀等級冒険者三人がパーティを組んで、冒険します。
重戦士、槍使い、ゴブリンスレイヤー、戦士三人のパーティはギルドからの依頼で、突如現れた塔の調査に出かけます。
最上階で待つ敵とは…。
戦士三人とかなりバランスの悪そうなパーティですが、ゴブリンスレイヤーが斥候を、槍使いが魔術師役を担うことで、意外とバランスが取れていました。
オチはゲームをしていれば、何度か考えたことのある手法でした。
まあTRPGならともかく、コンピューター相手では取れない手法ですが。
第七章
勇者パーティのお話です。
冒険の合間、次の仕事に出かける前の日常を描いています。
なぜ勇者が次々と問題のある場所に現れるのか。
その答えを書いたお話でした。
ゆく先々で問題が発生し、その解決に当たることで結果、敵の作戦を阻止することになる。その理由が語られます。
第八章
二千年以上生きている、妖精射手の街での生活を綴ったお話です。
衣服の洗濯をしていた妖精射手は、下着がない事を受付嬢に見咎められ購入しに行くことになります。
普段下着をつける習慣のない彼女は、あまり乗り気ではないのですが…。
この物語において、他の森人がそうなのか分からないのですが、妖精射手は下着を身につけないようです。
いろいろ擦れたりしないのでしょうか。
第九章
ゴブリンスレイヤーとパーティを組むことになった妖精射手、鉱人道士、蜥蜴僧侶の三人が冒険に出る切っ掛けを描いたお話です。
本来いがみ合っている森人と鉱人が、なぜパーティを組むことになったのか。
さらに蜥蜴僧侶との出会いが語られます。
PCゲームなどでパーティを作る際は、あまり頓着しない、種族同士における対立などの、バックボーンを考えてみるのも面白いかもしれません。
第十章
仕事を終え街に帰ったきたゴブリンスレイヤー。
今回、彼が何故大量の依頼をこなし、お金を稼いでいた理由が語られます。
帰ってきたゴブリンスレイヤーを、ギルドの人々が迎えるシーンは心が安らぎます。
印象に残ったもの
・キャラクター達の普段の生活
キャラクター達の街での暮らしや、脇を固める人たちの為人が描かれます。
今後、物語を読むうえで、深みを与えてくれる気がします。
・帰る場所があるという事
ギルドで報告を終え、仲間と別れたゴブリンスレイヤーを迎えてくれたのは、やはり牛飼娘でした。
戦いの後、おかえりと言ってくれる場所がある事は、彼にとってとても大きい事の様に感じます。
まとめ
ゴブリンスレイヤーと彼に関わる人々の日常を綴ったお話でした。
各キャラクター達が普段どんな生活をしているのかが、垣間見える短編集となっています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。