ヴィンランド・サガ 24 アフタヌーンKC
作:幸村誠
出版社:講談社
アイスランドへ帰還したトルフィンは家族との再会を果たし、旅の途中、結婚したグズリーズとの結婚式を一角の角の礼を支払う為、訪れたハーフダンの仕切りで行いました。
そんな風に幸せの最中にいる様に見えたトルフィンでしたが、多くの人を殺めた過去は彼を未だに苛んでいるようでした。
登場人物
イーヴァル
アイスランドの住人
ハーフダンに土地を取られ、現在は人の羊の世話で食いつないでいる。
剣を持つ事にこだわりを持つ、顔に入れ墨のある北欧の男。
ガングラティとストルクという二人の弟がいる。
ハルヴァル
巨大な体を持つハーフダンの奴隷
見た目は巨人の様だが、生まれてすぐ戦場に連れて行こうとする父親からハルヴァルを守る為、母親は彼を女の子と偽り育てた。
その為、力は強く、体は強靭だが性格は乙女。
母親は彼にコーデリアと名付けずっと可愛がっていた。
有名な将軍の息子。
ニャール
シグルドの息子
ハーフダンの下を離れていたシグルドとハトルゲルドの息子。
クリクリの金髪の可愛らしい赤ちゃん。
ハーフダンはニャールが言った「いっちゃ」という意味の無い言葉だけで一瞬で落された。
あらすじ
アイスランドで実家に逗留していたトルフィンは、未だ過去の亡霊に苛まれつつもヴィンランドへ向けた航海の準備を開始した。
彼はアイスランドの住民達に広くヴィンランドへの同行者を募った。
その条件は一つだけ。
剣を捨てる事。
例えば、ナイフや斧、槍などは生活の道具としてどうしても必要になってくる。
ナイフは日々の暮らしの中で、斧は森を切り開く為、槍や弓は熊や狼などの猛獣対策として。
だが、剣は純粋に人を殺す為だけに作られた物だ。
トルフィンはヴィンランドに作る新たな国に、剣を持ち込む事はしたくなかった。
しかし、トルフィンの言葉にアイスランドの男イーヴァルは反発を見せる。
土地をハーフダンに取られたイーヴァルは、新しい土地が得られそうなトルフィンの計画には魅力を感じていた。
しかし、彼は剣は男の魂だと言い、捨てる事を拒んでいた。
更に心情的な部分を除いても、もし原住民との間で争いが起きた時、剣が無くてどう戦うのかという事がイーヴァルの中では引っ掛かっていた。
感想
今回はアイスランドでの移住者集めと、剣の扱いについて移住希望者の一人イーヴァルとトルフィンの平行線な話し合いの様子が描かれました。
安心を得る為に武器を持つというのは、分からない話ではありません。
実際、アメリカなどは暴漢に対処する為、一般市民でも普通に銃を持っていたりします。
剣では無く自分達の作り出す物の価値で、対立せず融和を目指そうとしているトルフィン。
その理想はこれまでの経緯を知る一読者としては分かるのですが、世の中には俺の物は俺の物、お前の物も俺の物というジャイアニズムな人もいるからなぁとイーヴァルの言葉も一理あると思ってしまいました。
まとめ
トルフィンのやろうとしている事は、実現出来ればそれが一番いい道だと思います。
しかし、感想で書いた様に他者から奪う事に何の躊躇もしない人間がいるのも確かだと思います。
次巻はグリーンランドを経由して、ヴィンランドへ向かうのでしょうか。
どうなるのか、次も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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