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豊作でござる!メジロ殿 3

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盆栽豊作でござる!メジロ殿 3 SPコミックス
著:ちさかあや
シナリオ:原恵一郎
出版社:リイド社

藩の農政を司る郡奉行「目白逸之輔(めじろ いちのすけ)」の活躍を描いた本格農業時代劇、第三巻。
今巻にはメジロの右腕善波格之進(ぜんぱ かくのしん)の過去等も収録されました。

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登場人物

善波の父
格之進を武士としてこうあるべきと厳しくしつける。
百姓の子、平太と遊ぶ息子、格之進を快く思っていない。

板垣(いたがき)
書物奉行
頭が固く融通が利かない、また部下への当たりも厳しい。
その為か、書物奉行という閑職へ据えられた。
過去のとある一件から一方的にメジロに恨みを抱く。

登勢(とせ)
庄屋の娘
糸目で常に笑っている様な面差しの女性。
盆景(盆栽や小物で鉢や盆の中に風景を作る、現代でいうジオラマ)にハマり家を飛び出した。

ヘイポー先生
兵法学者だったという老人
現在は自然と共生する農法を実践、研究している。

各話あらすじ

高嶺に生きてでござる!
過去の経験から飢饉に備え、危険な食材を身をもって試している坂巻。
ある日彼は行きつけの蕎麦屋で高冷地で育ったという蕎麦を食す。
聞けば何処かの郡奉行が農業指導に訪れ、蕎麦の栽培等、色々試しているらしい。

作物の栽培の難しい高地での暮らしに興味を持った坂巻は、蕎麦の栽培地である高距限界集落を訪れた。

ナスと父子でござる!
メジロの補佐として働く、善波格之進。
彼はその日、いつも通り散らかし放題のメジロの仕事部屋で、ナスの栽培方法が書かれた農書を見つける。

それはメジロ自身が書き記した物の様だった。
善波はその農書を読み進める内、過去、自分がまだ子供だった頃の記憶を思い出す。

密書院千死震(みっしょいんぽっしぶる)でござる!
奇書の蒐集家が秘蔵の農書を持っていると聞きつけたメジロ。
その話を聞かせてくれた本屋の主の話では、その本は同士にしか見せられない代物だという。

どうしてもその農書が見たいメジロは、本の持ち主、宇羽屋を訪ねるが宇羽屋は既に亡くなっており、本は遺言により全て藩に献上される事となっていた。

その本を藩の蔵に運ぼうとしていた書物奉行、板垣にメジロは農書を見せて欲しいと頼み込む。
しかし、過去のいきさつから一方的にメジロを敵視している板垣は、彼の頼みを一蹴するのだった。

帰って来たボンクラでござる!
とある村の庄屋の屋敷。
メジロは庄屋に、娘が帰って来ているは賑やかでいいなと話しを振る。
しかし、庄屋はメジロの言葉にうかない様子。

話を聞いてみれば娘は死んだ後添いの連れ子らしく、七年前、家を飛び出し最近になってふらりと戻って来たという、かなり奔放な人物のようだった。

その娘、登勢は村の土地でも忌地と呼ばれる、作物の栽培に適さない土地を農地に変えようと動いていた。

木の上の告発者でござる!
たまたま手に入れた書き付けに、珍しい白いザクロの記述を見つけたメジロ。
ザクロといえば赤い物が一般的だが、そのザクロは熟れた状態でも白いらしい。
どのような物か気になったメジロは、土井田村の裏山、禁足地だというその地へと意気揚々と向かう。

禁足地に確かに白いザクロはあった。
しかし、その木にはザクロと共に人骨が絡み付いていた。

生きとし生けるものでござる!
かつては兵法学者だったというヘイポー先生。
現在は戦いの場を農業に移し、田の籠城戦をやっているという。
メジロは彼の言う田の籠城戦がどんな物か、元兵法家という事で興味を持った妹、羽子を連れその老人を尋ねる。

老人は害虫の発生源である畔の草を根元まで刈らずいた。
その事を村人に指摘すると、ヘイポー先生の言う事だからと過去の実績から信用している様子。

なぜ、草を刈らないのか。
答えが分からないメジロは眉根を寄せるのだった。

感想

今回は高地での作物と暮らし、善波の過去とナス、奇書マニアの残した農書、盆景に傾倒して家を飛び出した娘、白いザクロとギヤマンの謎、そして自然に溶け込んだ農法の六つが収録されました。

その中でも今回は盆景にハマった娘のお話が印象に残りました。
その娘、登勢は家に戻り忌地と呼ばれる作物の育成に適さない土地を農地に変えようとしていました。

忌地では連作障害が早く出るうえ病気も多く、村人達も早々にその土地の開墾を諦めていました。

原因は水はけの悪さだというメジロに登勢は盆景の鉢(プランター)を焼き解決法を示します。
登勢が示した解決法、それはプランター内で土を浄化し鉢植えで作物を育てるという物でした。

登場人物紹介で書いた様に、彼女は盆景、ジオラマづくりに傾倒し盆景を止めさせようとする父の元を飛び出し炭焼きに弟子入り。
独学で陶窯(すえがま:陶器を焼く窯)を作り鉢を焼くような人物です。

彼女が盆景のハマった切っ掛けは病床の母親に様々な景色を見せる為でしたが、それ以上に芸術家、アーティスト、そして好事家(マニア)な気質が強かったからの様に思います。

そんな登勢の姿を見ていて、やはり好きというのは止める事は出来ないのだなと強く感じました。

また、今回は以前登場した“いかもの食い(ゲテモノ食い)”の坂巻が再登場しました。
坂巻とメジロは方向性は違いますが、その根底はどちらも民の暮らしに根差しています。
メジロは収穫量の増加に、坂巻は収穫が途絶えた時の方策に重きを置いています。

この巻のラストに収録されたエピソードでは、霜により一晩で駄目になった畑が描かれました。
どんなに手を尽くしても自然には対抗出来ない場合もあると思います。

坂巻の方策はそんな時の為にあるのではと、今回読んでいて不意にそう感じました。

まとめ

今回も農業にまつわる様々な話が収録されました。
その中でも意外だったのは、農業の事では無く善波の年齢でした。
メジロの少し下ぐらいに思っていましたが、どうも彼は二十歳前後の若者の様です。

今回読んでいてそれが一番驚きでした。(メジロに振り回されて苦労してるからかなぁ……)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

こちらの作品はpixivで第一話が無料でお読みいただけます。
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※イメージはpixabayのJhon Fredy Davidによる画像です。
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