漫画

違国日記 第一巻 登場人物・あらすじ・感想

投稿日:2019年3月30日 更新日:

違国日記 1 フィールコミックス
著:ヤマシタトモコ
出版社:祥伝社

人見知りな小説家と、その姉夫婦の遺児の同居生活を描いたお話です。

少女小説家の高代槙生は交通事故で死亡した姉夫婦の遺児、田汲朝を親戚がたらい回しにするのを見ていられず、自身が極度の人見知りであるという事を忘れ朝を引き取ることを宣言します。

そこから少し変わった同居生活が始まります。

広告

登場人物

高代槙生(こうだい まきお)
小説家

極度の人見知りで仕事である文筆業に入ると、それに没頭し返事もしなくなる。
掃除も料理も苦手で、姉である朝の母親とは真逆のタイプ。

高代実里(たかしろ みのり)
槙生の姉であり朝の母親
槙生に社会一般でいう普通を求めた。

田汲朝(たくみ あさ)
両親を事故で亡くした少女
掃除をしながら歌を歌う、料理好きな15歳の女の子。
槙生からは子犬のような感じで見られている。
彼女素直さは、少しずつ槙生にも影響を及ぼす。

あらすじ

中学三年の冬、田汲朝の両親は死んだ。
パーキングエリアの交通事故でトラックに追突され、朝だけが車外にいて助かった。

高代槙生は母に呼び出された警察署で、母に寄り添い眠っていた朝と出会った。
朝とは彼女が幼い頃会っている筈なのだが、昔の事でよく憶えていない。

槙生は母に朝を押し付けられる形で、家に連れ帰ることになった。
取り敢えず改めて自己紹介をし、お腹をすかせた彼女とコーヒーショップで朝食をとる。

美味しそうにマフィンを頬張る朝を見ながら、槙生も食事を取る。
二杯目の飲み物をテーブルに置き、食事を終えた朝に、槙生は悲しい?と尋ねた。

わからない?と尋ねた槙生に、頷きを返す朝に槙生は、

「悲しくなるときがきたら、そのとき悲しめばいい…」

と話した。
槙生ちゃんは悲しい?と尋ねる朝に、全く悲しくないと槙生は答えた。
彼女は姉の実里のことを嫌っていた。
あなたを気の毒だと思う分…それが悲しいと続けた。

自分がへんなのかと思っていたという朝に槙生は、感じ方は人それぞれで誰にも責める権利はないと告げ、言葉に迷いながら、日記をつけるといいと朝に話した。

言ったこと、言われなかったこと、何を感じ、何を感じないのか。
朝は日記なんて、アサガオや夏休みのしかやったことないと話すと、槙生はアサガオの観察日記なんて、大人になってからやったほうが、楽しいに決まっていると答えた。


「たとえ二度と開かなくても、いつか悲しくなったとき、それがあなたの灯台になる」

 

朝は、へんな人と思った。

翌日、葬式で朝について話す親戚たちの会話を聞きながら、槙生が言ったことの意味が分かった。
彼らは朝をどうするか、誰が引き取るのかでもめていた。

朝は、特技の“音だけ聞いて言葉を聞かない”を発動していたので、槙生に呼ばれた時、考えていた、たらいの書き方を聞いてしまった。

槙生は朝に、

姉を嫌っていて彼女が死んでなお、憎む気持ちが消えない事。

通りすがりの子供程度にも、朝に思い入れがない事。

それでも、15歳の子供はこんな醜悪な場にふさわしくないと思っている事。

そのことを自分は知っていて、もっと美しいものを受けるに値する事を告げた。


「あなたの寝床はきのうと同じだ。
そこしか場所がない。

部屋はいつもちらかってるし、私は大体不機嫌だし、
あなたを愛せるかどうかはわからない。

でも

わたしは決してあなたを踏みにじらない。

それでもよければ明日も明後日も、ずっとうちに帰ってきなさい。
たらいまわしはなしだ。

それからたらいは、臼に水を入れて下に皿と書く」

 

朝は槙生といっしょに帰ること決めた。

広告

まとめ

槙生の紡ぐ言葉がとても心地いい作品です。
読むと不器用で人と同じことが出来なくても、生きていていいと少し許されたような気がします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

こちらの作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
作者のヤマシタトコモさんのTwitterはこちら

※イメージはPixabayのskeezeによる画像です。
広告

-漫画
-, ,

関連記事

狂斎 第一巻 登場人物・あらすじ・感想

狂斎 1 トクマコミックス echoes著:ちさかあや出版社:徳間書店 幕末から明治にかけて活躍した天才絵師、河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)の若き日々を描いた作品です。主人公甲斐洞郁(かい とういく …

田園風景

つらねこ 第一巻 登場人物・あらすじ・感想

つらねこ 1 青騎士コミックス 作:熊倉隆敏 出版社:KADOKAWA/エンターブレイン 山に囲まれた緑豊かな田舎町、函森町。 その函森町に住む中学生、上祢知里(かみね ちり)には悩みがあった。 彼女 …

舞踏会のマスク

傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 第五巻 登場人物・あらすじ・感想

傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 5 バンチコミックス著:磯見仁月出版社:新潮社 自分を支えてくれたショワズール公爵の罷免。それがデュ・バリー婦人(べキュー)の差し金だと思い込んだアントワネットは、王 …

ドラゴン

魔もりびと 第一巻 登場人物・あらすじ・感想

魔もりびと 1 ヤングキングコミックス 著:東裏友希 出版社:少年画報社 国一つ飲み込んだという伝説のドラゴン。 山だと思われたそのドラゴンが百年と少し前、突然その口を開ける。 その開いた口の先、ドラ …

梅

てだれもんら 1

てだれもんら 1 ビームコミックス著:中野シズカ出版社:KADOKAWA 板前と庭師、和の職業に携わる二人の微妙な関係にモノノ怪をプラスした作品です。輪郭線を排した描き方は、見慣れた日本の風景をどこか …

DMMコミックレンタル

広告
広告
田中
読んだ本の紹介等しています。
本を選ぶ際の一助になれば幸いです。