アルキメデスのお風呂 2 まんが王国コミックス
著:ニコ・ニコルソン
出版社:ビーグリー
誰からも必要とされていない。
そう思いフラフラと電車に飛び込もうとしていた女性、原陽子(はら ようこ)
彼女はオカッパ金髪王子、大池学(おおち がく)に救われた後、浮気をした彼氏と別れる事にしました。
それは良かったのですが、勤めていた弁当屋が潰れてしまいます。
しかし陽子は心機一転、新たな職場、大池の勤めるアルキメデス陽子加速器センター(A-PARC)の食堂で陽子は働き始めます。
今回はそのA-PARCの一般への施設公開日の様子からスタートします。
登場人物
れおな
A-PARCに見学に来たやんちゃな幼稚園児
一見、男の子のようだが女の子。
物理が好きで研究者を目指しているが、周囲からは女の子というだけで否定的な意見を浴びせられる。
陽子の父
老舗の天麩羅屋「はら天」の主
寡黙で頑固な職人気質の親父。
詳細は不明だが店を継ぎたいと修行を申し出た陽子の話も聞かず、駄目の一点張りで拒絶した。
以来、陽子とは口も聞いていなかった。
半太郎(はんたろう)
はら天で修業している若者
陽子の父は彼には仕事を仕込んでいた。
その事で陽子は何故自分は駄目なのかと不満を溜める事になる。
あらすじ
アルキメデス陽子加速器センター(A-PARC)の一般公開の日。
一般客の訪れるその日、センターは様々な催し物を用意し陽子も出店のスタッフとして忙しく働いていた。
そんな中、陽子はやんちゃな幼稚園児、れおなと出会う。
そのれおなが迷子になり、陽子も職員と一緒に探すことになった。
れおなは見つけたが、施設の中を逃げ回るれおなに追いつけない。
追いかけっこの末、れおなと陽子は立ち入り禁止の加速器の設置されたエリアへ入り込む。
れおなはその加速器を瞳を輝かせスマホで撮影していた。
更には設備の詳細な説明もスラスラと語り始める。
そんなれおなに陽子は思わず「変わってるよね」と言ってしまう。
それにれおなは変わってないと声を荒げた。
「れおなは、好きなものを好きって言ってるだけだ」
そう言うと、加速器の下をくぐり陽子から逃げだした。
それを追った陽子だったが、彼女は加速器と床の隙間にピッタリと嵌ってしまうのだった。
感想
今回は前半の施設公開のエピソードと、後半の唐揚げの事を起点とした陽子の実家、父親との確執についてが描かれました。
今回読んでいて感じたのは性別による選択できる道についてです。
男女同権が言われて随分経ちますが、やはり男女による選択肢の違いはまだ沢山残っているように思います。
前半はれおなが女の子だからと物理学者への道を否定されていました。
後半は陽子が恐らく女性である事で、実家を継ぐという道のスタートラインにも立たせて貰えない様子が描かれていました。
男女の差異によって向く向かないはあると思います。
例えば建設業などの肉体労働は、一般的に筋力で劣る女性には向かない筈です。
陽子の父親は彼女の事を思って駄目だと言ったのかもしれません。
しかし情熱を持ち真摯にそれに進もうとしている人を性別によってスタートラインにも立たせようとしないのは、なんだが間違っている気もします。
れおなは将来、その熱意によって素晴らしい発見をするかもしれないし、美味しい物を人が食べ笑顔になるのを見るのが好きな陽子は料理人として大成するかもしれません。
そんな可能性を今までそうだったからとかで潰されるのに、凄く憤りを感じます。
才能が世に出る事無く消えていくのは、酷くもったいない気がするんですよね。
まとめ
この作品は色々あって電子のみの発売となりました。
紙派なのでそこだけが残念です。
こちらの作品はマンガZOROにて現在三話まで無料で閲覧いただけます。
作者のニコ・ニコルソンさんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。