小説長編

十二国記 図南の翼 冒頭部分あらすじ・感想

投稿日:2018年12月20日 更新日:

翼
図南の翼

著:小野不由美
画:山田章博
出版社: 新潮社 新潮文庫

十二国記の第六作目、恭国に住む十二歳の少女、珠晶(しゅしょう)は王の不在により困窮していく国を憂う。
まわりの大人が誰一人昇山しないことに憤りを覚えた珠晶は、父の騎獣にのり蓬山を目指す旅に出た。

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冒頭部分 あらすじ

黄海で妖獣を狩ることを生業にしている猟尸師(りょうしし)の頑丘(がんきゅう)は、金剛山の北西にある乾の街に騎獣で降り立った。
仲間を失い、蓄えも底をついた彼はこの街から黄海に入り妖獣を狩ることで何とか食い繋ごうと考えていた。

馴染みの宿で泊ろうと店の主人と話す彼に金切り声が割り込む。
幼い少女が宿を取りたいとごねているようだ。

少女は頑丘に割り込むなと声を上げる。
しかし頑丘としても譲るつもりは無い。
そもそも子供一人でこんな所にいる方がおかしい。

少女は頑丘にここに何をしに来たのかと問うた。
反対に少女の方こそ何をしにきたのだと頑丘は聞いた。
道に迷ったのか、親はどうしたのかと尋ねると、彼女は親は連檣(れんしょう)にいるし、迷い込んだわけでもないと答えた。

頑丘が呆れてなんでこんな所までと呟くと、少女はそんなの決まってるじゃないと答えた。
彼女は蓬山に行くという。さらに昇山するのだと続けた。
頑丘も宿の店主も二の句が継げない。

大人が万全の準備をしても昇山には危険が伴う。
旅の道中の黄海は人の世界ではない、妖魔が蔓延りいつ命を落としてもおかしくない場所だ。

頑丘はそう少女を諭し、自分の目的である妖獣狩りの話もした。
すると少女は突然よごれた薄い綿入れを脱ぎ、下に来ていた裘(かわごろも)を脱いで裏返した。

そこには銀貨が糸で止められていた。
銀貨一枚で五両。五両と言えば小役人の一月分の給料だ。
それが何枚も括り付けられている。
少女はそれを頑丘に突きつけて言った。

「十三枚、六十五両あるわ、あたしを蓬山まで送ってちょうだい」

少女はにっこり微笑んだ。

「あたしは珠晶よ。まず今夜、あたしに牀榻(ねどこ)を譲って、あんたは床で寝るの。いい?」

感想

十二歳で家を飛び出し王となるべく蓬山を目指す珠晶の物語です。

十二国記で好きなキャラクターは多くいますが、珠晶のことが一番好きかもしれません。
気性は荒いですがその根底には優しさが溢れています。
また非常に聡明で機転が利き、絶望的な状況でも道を模索しようと努力を続けます。

物語のなかで傲慢とも思える言動をしますが、それも自分が子供でなにも分かっていないと決めつけられる事への憤りから出たものでした。

珠晶の小気味良さに心が奪われる一冊です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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