小説 小説長編

星虫 冒頭部分あらすじ・感想

投稿日:2019年6月30日 更新日:


星虫 ソノラマ文庫

作:岩本隆雄
出版社:朝日ソノラマ

スペースシャトルのパイロットを夢見る高校生、氷室友美。
彼女は夏休みの最後の夜、光を放つ物体が無数に空から降ってくるのを目撃します。

物体は友美の額に当たり姿を消します。
翌日起きた彼女の額には宝石の様な物が張り付いていました。

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冒頭部分 あらすじ

氷室友美は十六歳の高校一年生。
彼女は種子島からのロケット打ち上げを子供の頃見た事で、強く宇宙に魅かれる。

宇宙に昇り、そして空を飛び帰還するスペースシャトルに五歳の友美は憧れを持った。
だがパイロットになるには厳しい条件がある。

そもそも日本人、しかも女性がパイロットになった事など一度もない。
彼女が夢を諦めなかったのは六歳の夏に出会った人物のお蔭だ。

夏休みのある日、友美は兄の漫画の影響でパイロットになる為には体力が必要だと一人ジョギングに出かけた。
そして気が付くと自分が何処にいるのか分からなくなっていた。

見知らぬ街で迷子になった友美を助けたのは痩せた背の高いおじさんだった。
顔は怖いが目は優しく、友美を子ども扱いしない変な大人だった。

男の後について行くと不思議な場所に出た。
温室には熱帯の花やバナナが熟れその温室の横に細長い蔵が二つ並んでいる。

蔵の中には大量の本や動物のはく製、植物標本、世界中の砂の入ったガラス瓶などが詰め込まれていた。
友美はそこでバナナや熱帯の果実をご馳走になり、男から色々な話を聞いた。

男の他にも泣き虫で鼻をたらした男の子がいたが、友美は男の話が聞きたかったため、しつこいその子を泣かしてしまった。

蔵の奥から望遠鏡とスペースシャトルの模型を見つけた友美は、興奮し自分は宇宙船のパイロットになりたいがどうすれば良いのかと男に尋ねた。

男は友美の質問を真剣に考え、彼女がどうしてもパイロットになりたいのだと分かると、書いたようにすれば可能性はある。でも甘くないよと言いながら手書きのメモを友美に手渡した。

その後、友美は男が呼んでくれたタクシーで家に帰った。
友美はこれからも色々な事を教えて欲しいと男に言い、男もいつでもおいで言ってくれた。

しかし友美はその家に二度と行くことはなかった。
地図を使って探したがあの庭を見つける事が出来なかったのだ。

あの日、友美がもらったメモ用紙にはパイロットになる為必要な条件と方法、そして最後に絶対に希望を捨てないことと書かれていた。

それから友美はメモを道しるべに毎晩トレーニングを始めた。
それは高校生になった現在まで一日も休まず続けられている。
勉強の方も英語と理数系では誰にも負けた事が無い。

しかし成長するにつれ自分の夢がいかに難しい事であるかという事も分かって来た。

かつて外宇宙から来た宇宙船を発見した女性の事を思い出す。
彼女は国連の調査機関に宇宙船を一兆ドルで売却した。
その宇宙船は調査機関の強引な調査により、宇宙に飛び出し爆発して消えてしまった。

彼女は一兆ドルとは言わないがお金があれば宇宙に行けるのにと考えてしまう。
パイロットは無理でもお金さえあれば、ロシアのソユーズで宇宙に出る事は出来るだろう。

トレーニングの途中、いつもの公園で休憩しながらそんな事を考え星空を見上げていると空に星が流れた。
それは見る間に数を増やし流星雨の様に空を彩った。

見上げる友美の下に星が一つ下りて来る。
目の前に止まったそれを恐る恐る手の掌で包むと、隙間から光が漏れた。
光は熱くも冷たくもない。

親指の隙間から覗くと手の中はまるで昼の光のようだ。
光はその隙間をすり抜け友美の額にぶつかった。
反射的に額を手で叩いたがそこには叩いたため赤くなった友美のおでこしかなかった。

これで終わりと友美は思ったがそんな筈はなかった。

感想

夢と希望にあふれた素晴らしい作品です。
私が持っている物は2000年に発表された物で、作中ではスペースシャトルが現役です。

発表から二十年近く(最初の物からは三十年)が経ち、今では宇宙開発は政府主導の物だけでは無く、民間の企業がロケットを開発したりしています。

はるか昔から人は星の世界に憧れ空想を膨らませてきました。
鳥に憧れ飛行機を開発し宇宙に憧れロケットを作り出しました。

飛行機やロケットは戦争により、より早く高く飛ぶ物へ進化しましたが、初めは行ったことのない場所、見た事の無い物を見たいという好奇心から始まっている様に思います。

この物語にはそうした人の憧れの様な物が詰まっていると感じます。

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まとめ

このお話は、星虫シリーズの第一作目に当たります。
シリーズはどれも面白いですが、宇宙を強く感じさせるこの作品と「イーシャの舟」が特に気に入っています。

※私は新潮文庫版を読んだ事が無いので、感想はあくまでソノラマ文庫の物です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※イメージはPixabayのAchim Kleistによる画像です。
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