暁の犬 2 SPコミックス
漫画:高瀬理恵
原作:鳥羽亮
時代考証:山田順子
出版社:リイド社
刺客、小野寺佐内(おのでら さない)。
その佐内の父親を斬ったかもしれない相手との戦いを考え、彼の中にはその見えない敵への恐怖が住み着いていました。
佐内はその恐怖を払拭する為、人を斬る事を決意します。
主要登場人物
瓢三(ひょうぞう)
根岸が連れて来た男
佐内の口入屋、益子屋が使う鋭い目つきの痩せぎすの男。
佐内と同じく裏家業を生業とし、主に犬を使い仕事を行っている。
根岸とは仕事仲間らしい。
小堀(こぼり)
標的の一人、鳥居新二郎(とりい しんじろう)と同じ馬廻役
あばた顔の恰幅のいい侍。
鳥居と行動を共にする。
拝郷源左衛門(はいごう げんざえもん)
水野家江戸家老
過去に口入を通し益子屋と面識を得る。
義理堅く身分の差を超え道理を通す人物。
佐内の父、友右衛門を藩に迎え入れようとした事も……。
お甲(おこう)
佐内の仕事仲間、根岸の行きつけの店の女
目鼻立ちのくっきりした色っぽい女性。
満枝(みつえ)
おしまに代わり佐内の家の手伝いに来た女性
十六、七の美少女。
藤崎という元御家人の娘。
料理上手。
いつまでも独り身の佐内を案じ、おしまが送り込んだ。
あらすじ
口入れ屋、益子屋の依頼で水野家に仕える侍三人を斬る事になった佐内。
その仕事には佐内の父、友右衛門を斬った人間の関与も疑われていた。
佐内は生前の父には一度も勝つ事が出来なかった。
その父を斬った相手に勝てるのか。
見えない敵の姿は佐内の中で膨らみ、それは恐怖となって襲い掛かる。
しかし、刺客として請け負った仕事は為さねばならない。
佐内は同じ仕事と請け負った根岸大隅(ねぎしおおすみ)と共に標的の一人である鳥居新二郎の剣を見る為、根岸の仕事仲間瓢三の助けを借り、犬を鳥居にけしかけた。
けしかけた犬を鳥居は下段の構えで切り捨てた。
佐内の父、友右衛門は胴斬りによって殺害された。
鳥居は父を斬った者では無い。
それが分かった佐内は鳥居を根岸に譲り、鳥居が父の仇では無いと分かった借りを返す為、鳥居と行動を共にする同役の小堀の対処を請け負うのだった。
感想
今回は標的の一人である鳥居新二郎との戦い、一介の口入れ屋である益子屋が水野家の江戸家老、拝郷源左衛門と繋がりを持った経緯、そして佐内を案じたおしまが連れて来た満枝との出会いが描かれました。
主人公の佐内は線が細い美形として描かれています。
作中でも女性のみならず、男性にもモテているようですが、佐内はそのどれにもなびこうとはしません。
それは刺客として、剣客として人を斬り生きている自分が、他者を巻き込む事を恐れた事が原因のようでした。
明日死ぬかもしれない自分の生に誰かを巻き込む事は出来ない。
そんな血塗られた道を歩いている佐内ですが、作品は不思議と清々しく美しい物に感じます。
まとめ
満枝はとても初々しく可愛らしいのですが、佐内は彼女とそういう仲になるつもりは今の所無いようです。
江戸時代、武家の人々は結婚が早かった様な印象があります。
母親代わりで裏家業の事を知らないおしまが、ヤキモキするのも分かる気がします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こちらの作品はコミックボーダーにて一部、無料でお読みいただけます。
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