水は海に向かって流れる 1 KCデラックス
著:多島列島
出版社:講談社
高校に進学した直達は、それを機に実家を離れ叔父の住む一戸建てに居候する事になります。
しかしその家は、叔父以外にもOL、女装占い師、大学教授の三人が共同で暮らしていました。
それから五人プラス一匹の不思議な共同生活が始まりました。
あらすじ
雨の中、直達が駅で叔父を待っていると傘を持った見知らぬ女性が声を掛けてきた。
叔父は手が離せないらしく代わりに直達を迎えに来たらしい。
榊と名乗った二十台半ばの女性は直達を連れ家に向かう。
道中、直達はこの女性は叔父の彼女ではとか、であれば二人の邪魔をする事になるでは等と考えを巡らす。
家に着くと榊は直達に牛丼を作ってくれた。
牛丼は今まで食べた物とは比べ物にならない程美味しかった。
感動に打ち震えながらなんだか彼女の事が気になる直達だった。
食べ終え、部屋に案内された直達は叔父の部屋に挨拶に向かった。
叔父は有無を言わせず直達にベタ塗を頼む。
叔父は会社を辞め漫画家になっていたのだ。
叔父は漫画家の事は家族には言うなと直達に口止めをする。
彼は自分が、両親や姉が思う様な人間ではないとバレる事を非常に恐れていた。
そんな叔父に「三十過ぎたんだから反抗期終わらせてよ」と直達は呆れながら返す。
その後、ベタを塗っていると叔父に夕食の事を尋ねられた。
榊に牛丼を貰った事を告げると「ポトラッチ丼」もらったのか良かったなと伯父は言う。
叔父の説明では、ポトラッチとは北米北西海岸に住んでいた先住民が、冠婚葬祭などでアホほど贈り物を贈り合う祭らしい。
祭では自分の気前の良さを見せる為、高いモノを壊したりもしたそうだ。
榊さんは時々私財をなげうって上等な肉を買って来ては、雑に牛丼を作り振舞ってくれるそうだ。
そこから「ポトラッチ丼」と名付けられたという事だった。
自分のときめきは“肉”の力だった。
余りの美味さに禁断の恋に落ちかけた。
直達は肉に対する感動をときめきと勘違いした自分を戒めた。
その後、直達は叔父にここに住むのは邪魔ではないか尋ねる。
続けて榊は叔父の彼女では無いのかと聞いた。
叔父はそれを否定して、ここには叔父と榊以外に後二人住んでいる事を直達に告げた。
叔父の家は彼一人の借家では無く、ルームシェアという形だったのだ。
一方、榊は自室で、茂道(直達の叔父)に直達を迎えに行く際、渡された年賀はがきを見ていた。
はがきには写真がプリントされており、そこには彼女が知る人物が家族三人で写っていた。
十年前、直達は五歳、何があったか覚えていないだろう。
それに子供には関係ない。榊はそう思った。
榊は直達の父がかつてW不倫をしていた女性の娘だった。
感想
一癖も二癖もある住人との共同生活。
特に榊と直達の関係性は本来であればギクシャクしても当然だと思うのですが、直達が普通にいい子なので関係性が破綻しません。
あと同居人はバイオレンスな人が多いです。
占い師の泉谷は言わずもがな、榊も意外と乱暴だし教授と呼ばれる老人も物理的ではないですが考え方が荒っぽいです。
ただ不思議と読んでいるとほんわかします。
あと第二話で登場する捨て猫の「ミスタームーンライト(ムーちゃん)」は問答無用で可愛いです。
まとめ
帯に著名な漫画家さんが書かれている様にギスギスしてもおかしくない状況なのに、何故か優しく楽しい雰囲気で読めてしまいます。
次巻、直達と榊がどうなるのか気になります。
この作品は、pixivコミック、マガポケにて一部無料で閲覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。