小説長編

十二国記 月の影 影の海 下 冒頭部分あらすじ・感想

投稿日:2018年12月14日 更新日:

鼠
月の影 影の海 下

著:小野不由美
画:山田章博
出版社: 新潮社 新潮文庫

十二国記の第一作目、女子高生の中嶋陽子が王として、人として踏み出すまでを描いた物語。

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冒頭部分 あらすじ

自分をこの世界に連れて来たケイキ。
そのケイキだと思って追っていた人物は、女だった。

人々の裏切りや妖魔の襲撃、蒼猿の言葉で、陽子は人に対する信頼を失ってゆく。

傷つき倒れた陽子を、一匹の鼠が見つけたのはそんな時だった。

陽子が目覚めたのは、質素な家の寝台の上だった。
鼠は人の子供程の大きさで言葉を話し、楽俊(らくしゅん)と名乗った。
ケイキの事を尋ねたが、この辺りにそんな名前の人はいないという事だった。

陽子は楽俊を信じることが出来ないまま、体調が整うまで彼を利用しようと考えた。

楽俊は陽子が海客(かいきゃく)で、役人に追われていることを知っていた。
思わず剣を向ける陽子に楽俊が言う。

海客が災いをもたらすという話も、妖魔を操るという事も全て迷信だと。
海客というだけで殺されるという事が、嫌だと彼は話した。

楽俊は陽子にエンコクに行く事を勧めた。

エンコク、雁国と書くようだ。その国では海客も追われる事無く、普通に暮らしていると楽俊は話した。
雁国に向かうには、内海と呼ばれる海を船で渡るのが良いと彼は言う。

体力も戻り、礼を言い出て行こうとする陽子を、楽俊は引き留めた。

雁国に着いた後どうするのか、どうやってケイキを探すのか。
保護を求める方法を知っているのか。
それに雁国行の船が出る亜岸(あがん)までは、一月はかかるらしい。

陽子はきちんと準備したほうが良いという彼の言葉に従うことにした。

楽俊の家で陽子はこの世界について、様々なことをきいた。
蝕(しょく)という天変地異のこと。
それにより流されてくるもの、流されてゆくものがあること。

世界の形、蝕により流され日本で生まれる胎果(たいか)のこと。
雁国の王、延王は胎果だという。

楽俊は陽子の身の上を聞き、やはり雁国に行き延王を頼ったほうが良いと陽子に勧めた。

楽俊と話をしていると扉が開いた。
母だというその女性は、人の姿をしていた。

鼠の母親が人?
本当に母親かと問う陽子に、楽俊は母ちゃんがおいらを、もいだんだ。と答えた。
もいだ?と問う陽子に楽俊は、人の卵のなる木、里木について語った。
こちらでは人は木に生るらしい。

あまりに違う世界の仕組みに陽子は戸惑いを覚えた。

その後の話で楽俊は陽子と共に、雁国に行ってくれることになった。
楽俊もその母親も信用できないまま、陽子は楽俊と二人雁国に向けて旅立った。

感想

陽子は度重なる裏切りにより、人は騙し奪い合うことが常で、誰かを信じた者の方が利用されると考えるようになります。
しかし楽俊との出会いと別れ、蒼猿との対決を経て、陽子の心は変わって行きます。

上巻の閉塞感を吹き飛ばすような、爽快感と喜びが下巻には満ちています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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