ふたりソロキャンプ 1 イブニングKC
著:出端祐大
出版社:講談社
樹乃倉厳(きのくら げん)34歳。
彼の趣味はソロキャンプ。
車は使わず電車で移動し、自分一人で運べる物をだけで自然を楽しむ事を最上としていました。
しかし、ある女性との出会いがそんな彼のスタイルを変化させていきます。
登場人物
樹乃倉厳(きのくら げん)
がっちりした肉体を持つ34歳の男性
キャンプは独りで楽しむ事を自分のルールとしている。
自然の中で焚火を眺め一人静かに過ごす事、それにより日々の雑事から解放され心身ともにリフレッシュしていたのだが……。
キャンプでの料理は手のかからない物中心。
草野雫(くさの しずく)
女子学生
セミロングの胸の大きな女の子。
友人達のキャンプで彼女はその魅力にハマったが、友人達はそうでもなかったようだ。
しかしキャンプへの思いは冷めず、経験の無いままソロキャンプを実行する。
料理上手。興奮すると訛りがでる。
厳の父(故人)
幼い頃から厳をキャンプに連れて行き、彼に色々教えた。
厳がソロキャンプに拘るのは父の事が原因のようだ。
あらすじ
独りで野営をするソロキャンプを愛している男、樹乃倉厳はその日も静かな森のキャンプ場で孤独を楽しんでいた。
テントを設営し、薪を拾い焚火を楽しむ。
その日も途中まではゆっくりと一人の時間を堪能していた。
しかし、トイレに行き戻ったテントには見知らぬ下着姿の女性が立っていた。
ズボンを脱いでいる途中だったその女性は、厳の出現に驚き体勢を崩し彼を巻き込み倒れた。
まるで押し倒したような体勢になった事で、女性は悲鳴を上げながら厳の頬を思い切り張った。
取り敢えずブランケットを腰に巻き、落ち着いた様子の彼女に話を聞くと迷って川に落ち、下半身が水浸しになってしまったようだ。
その後、何とかキャンプ場に辿り着き厳の熾した焚火に誘われ、彼のテントにやって来たらしい。
独りの時間を邪魔された厳は草野雫と名乗ったその女性に、さっさと失せろと別の場所でテントを張るよう促す。
しかし雫はキャンプ場でテントを借りるつもりだったらしく、自前のテントは持っていないのだと言う。
呆れて一瞬固まった厳だが、どうしたら良いですかね?と尋ねる雫に帰れと冷たく言い放った。
そんな厳に雫は押し倒した事を言うと脅し、何とか協力を得ようとする。
雫はどうも、我儘が通ると思っている優しくされる事に慣れた女性だったらしい。
そして、それは厳が最も嫌悪するタイプの女だった。
どうにか引き離そうと、厳は仕方なくキャンプ場の避難小屋に足を運んだ。
だが小屋には鍵がかかっており、レンタル用の物を纏めているような倉庫も見当たらない。
自分が何をやっているのか疑問を感じながらも、閉め忘れたコテージが無いか見て回りつつ厳はテントに戻る事にした。
テントに戻ると雫は「やることないんで」と料理を行っていた。
“やることないんで!??”
人を働かせておいてやる事が無いとはどういう事だ!?
怒りに震える厳に雫はお詫びと言っては何ですけどと、彼に食事を勧めた。
どうやら自分の分だけで無く、厳も頭数に入っていたらしい。
雫が作っていたのは“ビア缶チキン”。
ビール缶に鳥を一匹突き立て、丸焼きにした豪快な料理だった。
その見た目と香りに吸い寄せられそうになった厳だったが、ソロキャンプにプライドを持っている彼はいらねぇと拒絶した。
独りが好きだと話し、雫に早く消えて欲しいと言う厳の口に雫はチキンを無理矢理突っ込んだ。
思わず食べてしまったそれは、ビールの力か肉は柔らかくハーブやニンニクも絶妙な、厳のしかめっ面も緩む絶品料理だった。
感想
作品はソロキャンプにこだわりを持つ頑固なおじさんと、料理上手な女の子が二人でソロキャンプを楽しむといった内容です。
第一話では雫は計画性の無い身勝手な女性の様に描かれていますが、それは周囲に仲間がいない状態で見つけた厳に、何とか助けて欲しいといった心の現れだった様に思います。
確かにやりたいと思ってはいても、ネット等で得られる情報だけでは中々上手くは行かないでしょう。
そんな時にいかにもベテランといった様子の厳の様な人がいれば、頼りたくなってしまうのも分からなくはありません。
物語は強引に師弟関係を結んだ雫に苦笑しながら、厳がキャンプのやり方を教えるという流れですすんで行きます。
厳はキャンプの達人ですが料理はシンプルな物が多く、雫はキャンプは素人ですが料理には造詣が深いです。
自然を楽しみつつ、美味しい料理とお酒に舌鼓を打つ。
読んでいるとキャンプをしたくなる、そんな作品です。
まとめ
雫の料理はかなり凝っていて、凄く美味しそうです。
そして何よりビールが飲みたくなります。
この作品はイブニング公式サイトにて第一話が無料でお読みいただけます。
作者の出端祐大さんのTwitterアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。