小説 小説短編

家守奇譚 あらすじ・感想

投稿日:2018年12月12日 更新日:

湖
家守奇譚

著:梨木香歩
出版社: 新潮社 新潮文庫

庭付き池付きの二階屋、かつての友人高堂の実家の家守を頼まれた私、綿貫征四郎が出会う様々な不思議を描いた短編集。

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冒頭部分 あらすじ

私、綿貫征四郎は学生時代の友人、高堂の実家に家守として住んでいる。
和風の庭に様々な植物が繫茂している。

高堂はボート部に所属しており、湖でボートを漕いでいる最中に行方不明となった。
売れない物書きをしている私は、彼の父親からの「嫁に行った娘の近くに隠居する。毎月些少ながらも幾らかお支払いするので家の守を頼みたい」という話に一も二も無く飛びついた。

庭の手入れなどはせずとも良いとのことだったので、植木屋を入れることなく放っておいた。
それが良かったのか庭の植物たちは栄耀栄華を極めている。

庭に一本のサルスベリが立っている。
花をつけているが本来なら花などつくはずもない。
この木は裏に大きな洞が開いているのだ。

文章に躓いた時は庭に出てこの木を撫でていた。
つるつるとした手触りが心地よく、手を伸ばし頭の上ぐらいから足元まで撫でてやるのが日課となった。

夕方から風雨が激しくなった。
雨戸を立てねばならないが横着して寝床に潜り込んだ。
キイキイという音で目を覚ました。
音はだんだん激しくなり、たまらず起き上がってランプを点けガラス戸を見る。

風に吹かれて、サルスベリの花々が窓に体当たりをするように枝ごと押し付けている。
波のように、いったん引いて押し付けるという事を繰り返していた。
その音が声のように聞こえてくる。

イレテオクレヨウ

今更雨戸を立てることも出来ず座敷に戻り布団をかぶる。
次第に風は収まり、またキイキイという音が聞こえてきた。
ガラス戸から聞こえてくると思っていた音は掛け軸から聞こえてきていた。
水辺の葦の風景で白鷲が魚を狙っている図だ。

布団から頭を出して掛け軸を見やる。
鷺が逃げ出し掛け軸の中は雨。ボートが一艘近づいてくる。
乗っている男は高堂だった。

感想

時代的には今から百年以上前、主人公の綿貫は様々なものに遭遇します。
行方不明になった友人をはじめ、動物、植物、妖や竜など。
四季がめぐり、庭の植物の移り変わりを感じながら、ゆったりと不思議を楽しむ。

そんな感じの物語でした。

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まとめ

綿貫が出会う様々な怪異。
それは昔は当たり前にあったモノなのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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