スキップとローファー 4 アフタヌーンKC
著:高松美咲
出版社:講談社
文化祭が近づき美津未(みつみ)は生徒会の役員として忙しい日々を送っていました。
一方、志摩(しま)もクラスでやる事になった演劇「サウンドオブミュージック」にキャストとして参加する事となります。
登場人物
クリス
志摩の子役時代の友人
くせ毛で小太りな少年。
友人で子役時代に志摩と共にスキャンダルに巻き込まれた梨々華(りりか)に好意を抱いている。
気遣いの行き届いた性格イケメン。
浅野諒子(あさの りょうこ)
美津未たちのクラスメイト
クラスの文化祭実行委員。
美津未が通うつばめ西高は文化祭のレベルが高い事で知られており、彼女は中学生の時、文化祭を見学し進学先をつばめ西決めた。
クラス演劇でミュージカルをやる事に強いこだわりをもっている。
木之本小春(きのもと こはる)
美津未たちのクラスメイト
クラス演劇「サウンドオブミュージック」で志摩が演じるロルフと恋仲となるトラップ一家長女リーズルを演じる。
彼女にはラブラブな恋人がいる為、クラスでも人気のある志摩の恋人役を演じる事へのやっかみは無い。
ダンス部所属で歌もうまい。
志摩の母
志摩が幼い頃、彼女と志摩の父は上手くいっておらず、その事で辛い思いをする事もあったようだ。
志摩が子役に打ち込んだのは、彼が頑張ると母親が笑ってくれた事が大きい。
志摩慧理(しま けいり)
志摩の弟
三才のしっかりした男の子。
顔は志摩には似ていない。
迷子になった不安を押し込み、見知らぬ高校生に囲まれても動じない。
素直で可愛い。
あらすじ
生徒会の一員として文化祭の準備に奔走する美津未。
しかしそんな中でもクラスのイベントに関わりたいと、演劇を主導している浅野に声を掛ける。
浅野からは尺の問題で脚本の見直しについての意見を求められた。
快く引き受けた美津未だったが、生徒会の仕事が立て込み、見直しについて手を付けられず話し合いにも参加出来なかった。
挽回しようと動画を観る美津未。
だが、校庭側のベンチで話す浅野達の会話を聞いてしまう。
「出来ないなら最初っから引き受けないでほしいんだよね」
「ちょっと空回ってるよね、やる気が」
その一連の流れを見ていた志摩は、美津未と過去の自分を重ね、頑張り過ぎる彼女を案じ声を掛ける。
美津未は志摩の気遣いに感謝しながら、演劇の話を振った。
その過程で志摩が本当は演技をしたくない事を思い出し、彼が引き受けたのならいいと流した事、そして引き受けた仕事をすっぽかした事を思い、美津未は自分の不甲斐なさに涙を流した。
そんな美津未を見て、志摩は全てをしょい込んでしまう彼女が自分の様に傷つき変わってしまうのではと不安になった。
志摩は美津未には変わらないままでいて欲しいと願っていたのだ。
その後、泣き止んだ美津未は志摩と演劇の一幕を演じ元気を取り戻した。
教室へ戻る道中、浅野達と会うのは気まずいのではと気遣う志摩に美津未は言う。
「私はね志摩君。多少ド派手に転ぶ事が多い人間だけど……
そのぶん起き上がるのもムチャクチャ得意なんだから!」
そう言って笑う美津未の顔は過去の泣いていた自分と違い、志摩にはキラキラと輝いて見えた。
感想
今回は全編通して文化祭の様子が描かれました。
あらすじで書いた準備の様子から始まり、文化祭での生徒会の面々や友人のゆづやまこと達、そして梨々華と志摩の母との接触等が収録されています。
この巻でもグッとくる場面は色々あったのですが、やはり一番印象に残ったのはあらすじで書いた仕事を抱え過ぎた美津未の、涙から笑顔へのくだりでした。
色々引き受け過ぎて、捌ききれず陰口を言われる。
当事者ではありませんが、そういう場面は目にした事があります。
そういう経験をすると消極的になってしまいそうですが、美津未は前に進む事を選びます。
そんな彼女の前向きさを見ていると、自分もこうありたいなぁと思ってしまいます。
まとめ
文化祭も無事終了し、季節は秋へと移り変わっています。
志摩は無意識のうちに美津未や周囲の人々と自分を比べ、美津未達の様に出来ない事に嫉妬していたと気付きました。
その事で彼は自分の本音を出すことを始めたようです。
次回はどんな事が起きるのか、今から読むのが楽しみです。
この作品はコミックDYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。