漫画

ふしぎの国のバード 第七巻 あらすじ・感想

投稿日:2020年8月17日 更新日:

クレマチス
ふしぎの国のバード 7 ハルタコミックス

作:佐々大河
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン

実在したイギリス人女流旅行家、イザベラ・バードの旅の様子を描いた冒険旅行記、第7弾。

これから先の危険な道程とバードの体を案じ、旅の延期を提案したイト。
そんなイトにバードは旅が終われば、自分はイギリスへと帰国し結婚する事を伝えます。

バードにとっての冒険旅行はこれが最後。
その事を告げられたイトは動揺を隠せない様子でした。

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あらすじ

バードの結婚の話を知りイトは強いショックを受けていた。
そんなイトとは反対に穏やかな天気と、雄物川を下る船旅にバードは心を躍らせていた。

そんな旅立ちの朝、二人は一組の男女と出会う。
その男女は夫婦の様で宥める男に女は一方的に捲し立て、髪に挿した櫛を地面に叩きつけるとその場を後にする。

日本では櫛は求婚の証、結婚指輪のような物だ。
それを叩きつけたという事は、別れの証ということだろう。

一方的に別れを宣言された男は、櫛を拾い上げ丁寧に磨くと懐にしまい込んだ。

船頭らしきその男にイトは船着き場への道を尋ねる。
案内するという男の申し出を彼の心情を考え断り、バード達は道だけ聞いて船着き場へと向かった。

辿り着いた船着き場には、先ほど男の元を去った女がいた。
夏と名乗ったその女は笑みを浮かべバードに話しかける。
秋田まで一緒に船に乗ろうと明るく言う夏にバードは戸惑う。

先程、亭主と別れたばかりだと言うのに、何故平然としていられるのか?
そう尋ねたバードに女は爆笑しながら手紙の束を取り出した。

その手紙は三行半(みくだりはん)。いわゆる離縁状だった。
その数、ざっと十七枚。
驚きを隠せないバードに対し女もイトも平然としている。

イトに話を聞けば十七は多いが、離婚歴があっても非難されたりはしないらしい。
それどころか様々な経験を積んだ嫁は逆に重宝されるそうだ。

女性の純潔を重んじる西洋とは真逆の考え方に、バードの好奇心がうずく。
イトはそんなバードに自分が見た西洋人夫婦の姿を話した。

家に籠り、編み物等して夫の帰りを待つ毎日。
まるで水底に沈んで動かない小石のようだ。
西洋人の妻たちをそう評し、バードには結婚は似合わないとイトは洩らした。

彼はバードには好奇心と冒険心を持ち、旅を続けて欲しいと思っていたようだった。

感想

今回は雄物川の船頭夫婦の他、秋田でのフランス料理人、イギリス公使夫妻とイトの元雇い主(契約的には今も)マリーズ、契約についてのバードとイトの話合い、按摩の技術、出会った人たちからの手紙が収録されました。

船頭夫婦の話でのイトの気持ちは、好きなアーティストやアイドルが結婚して引退してしまう気持ちと近いのかなと感じました。

マリーズの様に日本の文化を下に見る事をせず、自らそこに踏み込み、未知の物事を素直に受け止めるバード。
そんな彼女にイトは魅了されていたのだと思います。

旅する事が生きる事だとイトを危険な旅行に巻き込んだバードが、結婚して冒険を止める事は彼にとって裏切りに近い感覚だったのかもしれません。

また、今回手紙のエピソードを読んでいて、人は人に受けた行為によって変わるのだなぁと強く感じました。
恐らく旅をしたのが尊大なマリーズであれば、道中出会った人々は良い感情は抱かなかった筈です。

なんでも素直に受け入れ、人々と笑い合える彼女だったからこそ、出会った人達はバードの旅の安全を願ったのではないでしょうか。

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まとめ

今回、バードは秋田まで辿り着きました。
マリーズとの直接対決は函館。まだしばらくは北陸の旅が続く模様です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※イメージはPixabayのManfred Richterによる画像です。
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