八百夜 2 ウィングス・コミックス
著:那洲雪絵
出版社:新書館
トオワの幼い王アケト。そのアケトは実は女でした。
それを知った教育係のケイトは激高します。
先王は奥方を始め城の女を虐殺していました。
その中にはアケトの乳母だった彼の母親も含まれています。
そんな風に女達は殺されたのに何故、娘のアケトが生きているのか。
怒りは殺意に変わりケイトはアケトに刃を向けます。
しかし、ヤオが身を挺して庇った事で最悪の事態は回避されました。
ケイトに刺されたヤオは復活後、アケトが女である事を隠すようケイトと弟のマトに言ったのですが……。
登場人物
アンドの王
トオワの隣国アンドの国王
ふくよかなおじさん。
お転婆で気性の荒い娘に手を焼いている。
国に現れた天の末裔を名乗る流浪の民を人心を惑わすと処刑した。
コダマ
アンドの王女
ヤオを気に入り姿を消した彼の行方を追っている。
カンタ
アケトの世話役
怠け者の老人。
アケトの世話を怠りトラにより城から放り出された。
イシト
防人(ぼうにん:守備や罪人の討伐に従事する者)
髪の長い軽いノリの男。
警備の最中、酒を飲み暇を潰している。
ジューダ
防人
黒髪垂れ目の男。
勢いで行動しがちなイシトをたしなめる。
天の末裔
土地を持たず旅を続けている集団。
不死講と他者からは呼ばれている。
やがて天から自分達の祖先がやって来て救ってくれると信じている。
彼らの教義は御使いと呼ばれる者が語った物が元になっているようだ。
ココ
褐色の肌の旅芸人の娘
妙齢の美女。
ヤオに協力している。
大隠居
アケトの曽祖父の弟
目の悪い老人。
幼い頃、ヤオと会い話を聞いた事がある。
あらすじ
ヤオはアケトを殺めようとしたケイトを説得し、教育係を続けるよう頼んだ。
ケイトもヤオの口から父親らしき男が、トオワとその王の行く末を案じていたと聞かされた事と、王が幼く怯えた少女である事でヤオの言葉を受け入れ城に残る事を決めた。
その騒ぎの元となったアケトが女であるという事実を、ヤオはケイトとマトに公言しないよう告げる。
先王に家族を殺された者はケイト以外にも多くいる。
彼らがアケトが女だと知れば、ケイトと同じように思う者も出て来るだろう。
秘密を抱えたままケイト達はアケトの世話役を続ける事となった。
それから暫く後、ヤオの話でスッカリ元気になったアケトは食も進み以前とは比べ物にならない程活発になった。
ヤオがアケトに語った話は彼女の興味を城の外へと向ける。
アケトは城を抜けだし風車の立つ城の裏山の頂から国の姿を見た。
その広さと美しさに心打たれていたアケトだが、折り悪く向かいの山の見張り小屋にいたイシトが風車の上に猿を見つけ、追い払う為に銃を使った。
その音に驚いた猿の群れに追われアケトは足を踏み外し、斜面を転がり落ちた。
感想
この巻では話を聞き元気になった事で、引きこもっていたアケトが動き始めました。
その事で今まで国を取り仕切ってきたモリヤの心に不満が生じます。
また今回は防人のタザがとてもいい味を出していました。
当初は気が荒くヤオを酷く疑っているヤな奴といった印象でしたが、この巻で彼は彼なりに国を思い動いていたのだと気付きました。
意外と面倒見のいい所も好印象でした。
あと、以前ヤオがいた国、アンドの様子も描かれました。
人心を惑わせるという理由で天の末裔を名乗る流民を処刑した王。
そして彼の娘でありヤオに恋心らしき気持ちを抱いているコダマ。
アンドは豊かな国のようですが、他国の動きをかなり警戒しているようでした。
その事がアケトの心が明るくなった事で、良い方に動き始めた様子のトオワにどう影響するのか。
次巻が楽しみです。
まとめ
作中、彼らの暮らす世界の状態が何となくですが分かって来ました。
たぶん作中の世界で暮らしている人々は、星間移民船に乗らず残った、もしくは残された人々なのでは無いでしょうか。
天の末裔が言う救いとは、その移民した人々が戻ってくる事のように思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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