八百夜 1 ウィングス・コミックス
著:那洲雪絵
出版社:新書館
王が国中の女を虐殺したと噂される国トオワ。
そのトオワに旅人を名乗る男がやってきます。
男は山賊と疑われ、流れ弾に当たり死亡。
しかし、不思議な事に確かに死んでいた筈の男は程なく生き返り……。
登場人物
オノ・ヤオ
旅の語り部
銃弾により死亡し蘇った男。
旅の道中、話を仕入れそれを語る事で日々の糧を得ている。
本人いわく、不老不死であり八百年前から生きている。
アケト
先王による女性の虐殺があったとされる国、トオワの王
まだ幼く、過去に怯え食も細く病弱。
不老不死だというヤオに興味を抱き、話を聞きたがる。
マト
アケトの世話役
黒髪の少年。
彼の母がアケトの乳母であった為、アケトとは兄弟の様に育つ。
王であるアケトにも敬語を使う事は無い。
ケイト
アケトの教育係。
マトの兄。
線の細い美形。
他国へ留学していた秀才。
モリヤ
トオワの王族、イワテの分家の男、王の補佐
禿頭に髯のおじさん。
権力欲が強く、気性が荒くワンマン。
イワテ・トラ
トオワの王族、イワテの分家の青年、王の補佐
幼い王に代わりおじのモリヤと共に政を行っている。
頭の切れる青年。
タザ
王城の警備兵
頬に傷を持つ荒っぽい青年。
リカ
トオワの集落の一つマキノの住人
そばかす黒髪の少女。
馬が売れない事で王城へ税の免除求めやって来た。
クロイズ
トオワの先代の王
心を病み城の女を虐殺したらしい。
トウタ
マト達の父親
王の守人だった男。
先代王を暗殺した犯人と目されている。
王の行いを止めた事で感謝する者も多い。
ヤオにトオワの事を頼む。
あらすじ
山深いトオワの国。
その国の王は乱心し妻を手にかけ、国中の女を殺したらしい。
そんな噂のあるトオワに一人の旅人がやって来る。
男は旅人だと村の人々に名乗ったが、彼らは男を山賊と疑い追い払う為、銃を使った。
石に当たった銃弾は跳ね返り、運悪く男の頭に命中。
村人たちは仕方なく役場に経緯を伝え、男の死体は何者か調べられる為、王城へと運ばれた。
役人達が男の持ち物を調べていると唐突なクシャミが部屋に響いた。
驚いた役人が目を向けると、そこには確かに死んで、調べの為に身ぐるみを剥がされた男が寒さに震え、服をくれと口を利いた。
死んだ男が生き返った。
王城は大騒ぎとなり、男は現在城を取り仕切っている男、モリヤに自分が何者なのか説明する次第と相成った。
男は見聞きした面白い事を人に伝える事を生業にしていると、モリヤに話した。
モリヤは男を芸人だと思い、生き返ったのも目くらましだと調べを行っていた部下を酒を飲んでいたと決めつけ叱る。
男はそれを取り成し、自分は不老不死だと告げた。
仔細を問うモリヤに男は自分の身に起きた事を語り始める。
感想
不老不死の語り部、ヤオと惨劇のあった国の幼い王、アケト、そしてそこで暮らすトオワの国の人々のお話です。
人々の文化や生活はアジア、日本の昔の姿に良く似ています。
しかし、銃や電気(電灯)は存在しておりそれなりの文明があった事を感じさせます。
作品は心に傷を負っているアケトを、語り部であるヤオがおとぎ話によって癒していくといった物になっています。
また、トオワと他国との状態もあまり良くなく、その辺も含め今後物語は展開していくのかなと思います。
まとめ
トオワの過去、ヤオの語るおとぎ話(基本、日本の昔ばなしがベースとなっている)、そのどちらもとても興味深く読む事ができました。
当初、暗く沈んでいたアケトが、ヤオの話と彼自身の存在によって明るく変わっていくのは、読んでいてとてもホッコリしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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