ながたんと青と ―いちかの料理帖― 1 KC KISS
著:磯谷友紀
出版社:講談社
戦争で夫を亡くした京都の老舗料亭の娘、桑乃木いち日(くわのき いちか)。
先代だった父が亡くなり、料亭を継ぐ筈だった夫も失った彼女は戦争が終わって六年の1951年、ホテルの厨房でコックとして働いていた。
登場人物
桑乃木いち日
老舗料亭「桑乃木」の長女
黒髪釣り目の美人(34)。
料理が好きで料理教室で洋食を学び、現在はホテルの厨房で前菜係を任されている。
特に卵料理が好きなようだ。
戦争で夫を亡くしている。
桑乃木高行(くわのき たかゆき)
いち日の夫
老舗料亭「桑乃木」の料理人であり料亭を継ぐ筈だったが、戦争で命を落とした。
桑乃木ふた葉(くわのき ふたば)
老舗料亭「桑乃木」の次女
大阪のホテルを経営する山口家との見合い話が持ち上がる。
慎太郎(しんたろう)
老舗料亭「桑乃木」の料理人
ふた葉と仲が良い。
山口周(やまぐち あまね)
山口家三男
黒髪眼鏡のクール毒舌系男子(19)
元々、見合いは山口家次男の栄(さかえ)とふた葉の話であったが、栄に急遽、別の縁談が持ち上がった為、周が見合いをする事になった。
合理的で先進的な考えの持ち主だが、思った事はハッキリ言うタイプ。
料理に対しては素直。
伯母さん
老舗旅館「桑乃木」の先々代の長女、いち日の伯母。
やり手ババア。
戸川(とがわ)
老舗旅館「桑乃木」現料理長
いち日に対して思う所があるようだ。
モーガン
GHQ京都軍政部、物資調達部
アメリカ軍の女性士官。
続く戦争とその事後処理で故郷に帰れずストレスを抱えている。
あらすじ
戦後、GHQの統治下に置かれた日本。
老舗料亭の娘、いち日はGHQに将校宿舎として接収されたホテルの厨房で働きながら、実家の料亭「桑乃木」の手伝いをしつつ日々を過ごしていた。
終戦から六年、次第に接収は解除されていっていたが、いち日の働くホテルはまだ解除されてはおらず、実家の桑乃木も順調とは言えない。
そんな状況の中、妹のふた葉に見合い話が持ち上がる。
相手は大阪でホテルを経営している山口家の次男。
山口の狙いは料亭「桑乃木」を足掛かりにする事だろうが、経営状態の厳しい桑乃木を守る為には仕方がないと、ふた葉は見合いする事を決意する。
そして見合いの当日、現れたのは次男、栄(さかえ)ではなく三男の周(あまね)だった。
彼は桑乃木のしつらえについて言及。
「まだ、戦争前みたいだ」
と内装の不備を口にした。
その言葉に思わずいち日は、山口のホテルはどれだけ最先端で野趣あふれた作りなのだろうと嫌味を返してしまう。
二度と桑乃木の敷居をまたいで欲しくない。
そんな感想を抱いた見合いの後、妹のふた葉は桑乃木の料理人慎太郎と駆け落ちした。
感想
歯に衣着せぬ物言いの周との結婚に我慢ならず、ふた葉は慎太郎と駆け落ち。
結果として未亡人のいち日がふた葉の代わりに周と結婚する事に。
未だに亡くなった夫、高行を想ういち日。
好きな人がいるという周。
完全に愛の無い政略結婚な二人ですが、桑乃木を立て直したいという周の言葉でいち日は彼に協力する事に……。
基本、自由恋愛な現代と違い、家の為に結婚する事が珍しくなかった時代。
この作品では結婚以外にも女性が料亭の厨房に立つ事への批判など、戦後という時代の常識や親戚などのしがらみ等も描かれています。
何というか、本人の意思では無く、周囲の意向で話がドンドン進む感じは、なんかやだなぁと読んでいて感じました。
ただ、いち日の反応を見ているとそういう時代だったんだなぁとも感じました。
なんにせ、旅館「桑乃木」がどうなるのか、いち日と周は本当の夫婦になるのか、先が楽しみです。
まとめ
いち日の作る料理がどれも美味しそうで、読んでいるとお腹がすきます。
GHQ士官、モーガンの紹介で40名をもてなす事になった桑乃木。料理長の戸川が辞めると言い出したりで次回も大変そうです。
こちらの作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
作者の磯谷友紀さんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。