うちのちいさな女中さん 3 ゼノンコミックス
著:長田佳奈
出版社:徳間書店
昭和9年、翻訳家の蓮見令子(はすみ れいこ)と、彼女の家で住み込みで働く十四歳の女中、野中ハナ(のなか はな)の日々を描いた作品、第三巻。
登場人物
吉田萬里(よしだ まり)
以前、令子が英語の特別授業をした女学校の生徒
おさげの少女。
翻訳家として自立している令子に憧れを抱き、彼女のように職業婦人となる事を夢見ている。
令子の家で住み込みで働くハナにジェラシーを燃やす。
あらすじ
梅雨も明け暑さも増してきたある日。
令子は疲れた様子の令子はハナの用意した朝食を残した。
心配したハナが医者を呼ぼうとすると、令子は苦笑しながらそれを止める。
話を聞けば、どうやら最近の蒸し暑さで余り眠れていないらしい。
「寝不足……」
令子の安眠について考えながら、買い出しに出かけたハナの耳に主婦たちの声が届く。
「おかげで暑くてもよく眠れたんですよ~」
思わず足を止めたハナは、井戸端会議をしていた主婦たちに歩み寄り声をかけた。
主婦たちの話題は最近暑くなったこと、そしてその中の一人が着ていた「アッパッパ(簡単服)」についてだった。
アッパッパを着ている女性は寝るときもアッパッパのままらしく、蒸し暑くても快適に眠れるのだという。
その事に衝撃を受けたハナは、女性にアッパッパの作り方を尋ねるのだった。
感想
今回は寝不足の令子とアッパッパから始まり、令子に憧れを持つ女学生、吉田萬里、うまくいかない日とコロッケ、十歳のハナと先輩たち、お中元と百貨店、ハナの休日等が描かれました。
その中でも今回はお中元の話が印象に残りました。
作中、令子とハナは百貨店に出かけお中元に送る品を選びます。
時代は昭和九年、登場した物の中には見慣れない商品もありましたが、ハムの缶詰や食用油など、現代でもお中元に使われている物も登場していました。
昭和初期でもハムと油は定番なんだなと思う一方、缶ビールはまだ無かったようです。
ハナが先輩たちに送った陶器の蚊取り器が何だか可愛かったです。
まとめ
予告によれば次巻も夏のお話となるようです。
次はどんな日々が描かれるのか、今から読むのが楽しみです。
この作品はゼノン編集部にて第一話が無料でお読みいただけます。
作者の長田佳奈さんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。