ぽんこつポン子 3 ビッグコミックス
作:矢島圭太
出版社:小学館
ゲンジの孫娘ゆうな。
都会で育った彼女には自然に溢れた日坂町の暮らしは少々退屈なようでした。
ですが、日々を過ごすうち、その認識は変わって行きます。
登場人物
藤工務店先代(ふじこうむてん せんだい)
ゲンジが勤めていた工務店の前社長
現在は息子に工務店を任せている。
二代目の祖父。
若い頃のゲンジとその妻千秋の馴れ初めを知る。
ガンタの父
日坂小学校に通う小学生ガンタの父親
釣り宿を営んでいる。
都会に憧れるガンタは釣り宿を継ぐつもりは今の所無いようだ。
クジラ
日坂湾の沖で暮らす鯨
高度な知能を持ちピノキオの話を知っている。
ポン子の姉
ポン子と同じ型式のロボット
ある目的の為、バイクに乗り旅を続けている。
あらすじ
夏休みを利用し勉強の為、日坂町へやって来たゲンジの孫娘ゆうな。
そのゆうなを迎えにいったポン子だったが、自由奔放なゆうなは田舎町の景色に興味を持ち勝手に散策を開始。
迷子になったゆうなを探してゲンジは町の人々に捜索を頼む。
ゆうなは無事に見つかったものの、ちゃんと案内が出来なかったポン子はゲンジによって納屋に仕舞われてしまった。
ポン子を道具だといってはばからないゆうなは、彼女をそのまましまっておこうとゲンジに告げる。
その後、ゲンジは畑に出かけ家に一人となったゆうなは、早々と退屈な田舎の暮らしに飽きていた。
「ばぁばがいた頃はもっと賑やかだった気がするな」
そう呟き畳みに寝転がったゆうなの横に何かが天井から落ちた。
視線を向けるとそこには大きなムカデが体をよじらせている。
「きゃああっ!!!」
悲鳴をあげて納屋に飛び込み、ゆうなはポン子を連れ出した。
座敷に戻りポン子にムカデを処理してもらう。
外に逃がすが聞くポン子にゆうなは駆除を命じた。
それを受けてポン子は左手のイオン砲でムカデを焼却。
焦げた畳に慌てるポン子を見て、ゆうなは面白ッと彼女に強い興味を抱いた。
感想
ゲンジの孫、ゆうなは当初、ポン子の事をロボット(家電)扱いしていました。
しかし、彼女と一つ屋根の下で暮らすうち、ぽんこつですが献身的で人間味の溢れるポン子の事を最初とは違う意味で気に入った様に感じました。
この巻ではポン子と同型のロボットがゲストとして登場します。
作中彼女が言っている様に、ポン子は長時間の稼働によりシステムに当初のプログラムとは違う何かが生まれている様に感じます。
それはブレードランナー等で語られた自我の芽生えでは無いでしょうか。
AIや電子頭脳も開発思想が生物の思考プロセスの模倣であれば、自我が生まれる可能性もゼロじゃない気がするんですよね。
まとめ
この作品は、はしばしにとても繊細な気遣いを感じさせるシーンが織り交ぜられます。
今回は食事を取れないポン子がトマトを食べた場面でそれを強く感じました。
こちらの作品はビッグコミックBROS.NETにて第1話~3話までが無料で閲覧いただけます。
作者の矢寺圭太さんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。