庭先案内 4 ビームコミックス
著:須藤真澄
出版社:エンターブレイン
須藤真澄さんの描く、庶民的な暮らしの中に不思議を織り込んだ日常系ファンタジー。
浪人生はさらに厄介なモノを背負ったようです。
各話あらすじ
幻燈機5
ネパールのある街で老人と共に興行をした親子。
父親の方は、老人が報酬を受け取らず立ち去った為、かなり機嫌が悪い。
娘はそんな父の様子に少し不満げだ。
旅立ちの準備を整え終わり、父は街の人たちに連れられ酒場に向かった。
一人残った娘は、露天商のおばさんから国の南側はゲリラが出ると聞き、老人が寺の祭があるからまだ街にいるかも知れないと、情報を知らせるべくその寺へ向かった。
上野みやげ
修学旅行で東京に来た少女。
彼女は家族や近所の人たちへのお土産を買う為、自由時間に一人アメ横に向かった。
人々の活気と勢いに押され、次々に商品を購入する内、彼女は不思議なビルに迷い込む。
幸運の島
嵐の中、窓の外を眺めながら民宿の椅子に腰かける帽子屋。
彼女は台風の予報が出ていたにも関わらず、スランプ解消の為、この島にやって来たのだ。
しかし結果は嵐、船は欠航し電線が切れたのか民宿の電気も止まってしまった。
きよし その夜
雪の夜、唐草模様の風呂敷を背負い、ほっかむりをした髯の男が、民家の窓に手を伸ばす。
男が窓に手を掛ける前に、カラカラと音を立てて窓が開く。
窓を開けたのは小さな男の子だった。
その子は男に誰か尋ね、戸惑っている内にサンタさんだと、はしゃぎ始めた。
ファーザードーター
中年の男と少女が雪の残った町を歩いている。
男と少女は親子の様で、二人は二ヵ月に一回しか会えない。
男は別れた妻の様子を尋ね、彼女にお年玉を手渡す。
娘は流れでお年玉をもらってしまったが、急に騒ぎ出した。
どうやらその日は男の誕生日で、彼女は男にプレゼントを買おうと思っていたようだ。
それなのに自分が流れでお金をもらってしまった事が、彼女には許せなかったらしい。
マダーム ゴッドハンズ
コミュニティーセンターの一室で、中年女性達がお喋りに花を咲かせている。
そこにまだ十代の少女が訪ねて来た。
少女は、ここに集まっている女性たちが手芸の達人と聞き、バレンタインに手作り物が渡したいと、センターまでやって来たのだ。
不動産ファイル #001
不動産屋に部屋を探しに訪れた浪人生。
一円でも安い所をと要望を伝えた彼女に、不動産屋の主人は#001と書かれたファイルを取り出した。
ファイル#001、それは訳アリ物件ばかりを集めた、おおよそ普通の客には勧めない代物だった。
桜酒
花見の季節、公園には酔っぱらいが溢れ、皆楽しそうに笑っている。
そんな中、一人の老婦人がベンチに腰掛け、ため息を吐いていた。
そこに一人の老紳士が隣は開いていますかと夫人に声を掛けた。
夫人が勿論と答えると老紳士はベンチに腰を下ろした。
二人が静かに座っていると、ギターをかき鳴らしながら大声で歌う若者が現れた。
王様の休日
妹が公園のブランコでへばっている。
父の仕事の関係で海外に行っている母の頼みで、おねえちゃんと買い出しに出たのだが、その量が多すぎて疲れ切ってしまったのだ。
ソースなどの汁物が送れるか、今更調べる姉に、妹が食って掛かっていると、彼らの間に小柄なバーコード頭のおじさんが現れる。
突然現れたおじさんに二人が距離をとると、おじさんは二人に今日は休みかと尋ね、返事も聞かず自分も今日は千五百年ぶりに休みだと話した。
妹がその言葉にフリーズしていると、おじさんは異国風の服をきた巨大な姿になった。
その姿は所謂エンマ様だった。
おかーさんといっしょ
久しぶりに実家に帰った女性。
伸び放題だった庭の草をむしり、母が焼いたクッキーを食べながら近況を聞く。
そうしていると、インターホンが鳴る。
玄関を見ると、門扉越しに奇妙な生き物(植物の妖精)が覗いていた。
感想
今回は上野、アメ横の話が可愛かったです。
また、おねえちゃんと妹のシリーズで、おねえちゃんが妹に教えた様々な嘘情報がとても良かったです。
(トイレは両手を上げて一回、回ってからでないと、してはいけない等)
小さい頃に教えられた事を、律儀に守っている妹がとても可愛いです。
最後にこの巻で好きなセリフ
妹「おろしたてのノートには、まずうんこさんの絵ー描いて、消しゴムで消すてのも!?」
姉「……やってたんや…」
まとめ
三巻で職を探していたおじさんは、新しい職につけたようです。
また浪人生は新たにヤバそうなモノに憑りつかれ、不幸の度合いが加速しているようでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。