銀河のカーテンコール 1 モーニングKC
著:北駒生
出版社:講談社
婚約者と別れた図書館司書の合歓木眞(ねむのき まこと:30)は現役を引退したばかりの庭師、松波誠二郎(まつなみ せいじろう:70)ととある居酒屋で知り合う。
お互い、言い出せない事を抱えた二人は一緒に飲む事となり。
登場人物
合歓木眞(ねむのき まこと)
図書館司書(30)
セミロングで優しい雰囲気の女性。
婚約者に合わせる事に疲れ、婚約を解消した。
お祝いムードな友人達にその事を伝えられずにいた。
松波誠二郎(まつなみ せいじろう)
庭師(70)
キリっとした顔立ちのイケメン老人。
伝説の庭師。
引退を決めていたが最後の仕事を終えた後、まだまだ仕事をしたいと思ったが、弟子たちの勢いに負け、結局引退に追い込まれる。
青木理一(あおき りいち)
眞の元婚約者
住宅会社に勤めるサラリーマン。
合理性を優先し情緒的なモノを嫌う。
眞は彼のそんな部分に疲れを感じていた。
万里(ばんり)
眞が植え込みから救出した青年
もじゃもじゃ髪で目を隠した無精ひげの青年。
実は超美形。
なずな
万里の下宿先の孫娘
お下げ髪の元気一杯な女の子。
万里によく懐いている。
あらすじ
結婚を控えていた三十歳の図書館司書、合歓木眞はその日、祖母の家の庭で星の形をした花を見た。
彼女はその花が光っている様に感じ結婚を辞めようと決意した。
眞の婚約者、青木理一は合理性を尊び、バリバリ働く優秀な営業マンだ。
その反面、人の心の機微、情緒や感情的な者達を揶揄し、眞にも合理性を求めた。
それまで理一に合わせてきたが、花を見た瞬間、結婚を辞めようと決めた。
一方、庭師としてずっと働いてきた松波誠二郎(70)はその日の仕事を機に引退を表明していた。
しかし、最後の仕事で手掛けた庭を見下ろした誠二郎の心には、まだ足りないという思いが溢れていた。
そんな二人は、居酒屋で偶然居合わせる。
眞は友人同士の飲み会で、誠二郎は弟子たちと共に。
眞の側は彼女の結婚について祝い、誠二郎の側は彼の引退について祝おうとしていた。
その勢いに負け、眞は友人達に婚約解消を伝えられず、誠二郎は弟子たちに引退撤回を伝えられず、どちらもサプライズで祝われてしまった。
店を出た眞は気まずい思いのまま友人達を見送った。
その後、凹んだ眞は今なら主役っぽい事も出来ると、同様な体験をした誠二郎を眞は二軒目にさそうのだった。
感想
四十年、年齢に隔たりのある二人がひょんな事から魅かれ合う。
眞は物語や植物から受ける気持ちの動きを大切に思っており、婚約者の理一はそんな感情を否定して現実的な物を重視していました。
彼の考え方の根底には自分も含めた殆どの人間は、映画の主役の様な役回りは回ってこない。
だからそんな物に期待しても無意味だという諦めがある様に、読んでいて感じました。
そして眞にもそれを求めました。
一方、誠二郎は小説で生まれる想像を受け入れ、彼女に花を差し出し、この花ぐらい、いばっていてくださいと告げました。
作中、誠二郎が言う木に土地が合わないという言葉。
人にもそれが当てはまり、眞は理一といたら枯れてしまっていたのだろうなと読んでいて感じました。
まとめ
70と30の恋がテーマの作品ですが、二人が全然ドロドロしていないので、凄くサラサラの気持ちで読む事が出来ました。
今後、二人が恋人になるのかは分かりませんが、理一や万里などの事も含め先が楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。