野良猫と便利屋 2 ブリッジコミックス
著:乙津きみ子
出版社:KADOKAWA
自殺未遂が切っ掛けで便利屋ネコノテで働き始めた柴。
今回はその柴の過去が描かれます。
登場人物
佐伯(さえき)
足の悪い高齢の女性
玄野と柴が依頼でお墓の掃除をしていた際知り合った女性。
お墓に入っている前橋の知己であり、生前、前橋は足の悪い佐伯を何かと気遣っていたようだ。
山崎正臣(やまざき まさおみ)
ネコノテ多摩店社員
大柄で穏やかな雰囲気の男性。
料理上手。
健斗(けんと)
不登校の少年
両親の不和に心を痛めている。
藤野(ふじの)
ネコノテ従業員
事務を担当していたがこの巻からは外にも出る事となった。
必要以上の事を話さないクールな印象の女性。
時折暗い炎が噴き出す事がある。
田中みお
父の動向を探る少女
ネコノテに依頼に来た父親が何をしようとしているか探っている。
あらすじ
依頼が切っ掛けで新たな顧客となった佐伯。
ずっと一人で生きてきた彼女は便利屋へ依頼するも、助けてもらう事に申し訳無さを感じていた。
老いて出来なくなる事が増え、人に迷惑を掛ける事が多くなる。
そうやってあと何年と口にした佐伯に、玄野はその為に自分達みたいなのがいると答える。
優しいのねと返した佐伯にそれは違うと玄野は答えた。
彼が佐伯を手助けしているのはあくまで仕事だ。
金銭と引き換えにサービスを提供する。
その言葉で佐伯はこれまでの自分の人生を振り返る。
彼女は看護師として働き、患者が元気になって退院していくのが喜びだった。
その為の努力を惜しまず、家庭に入る事を望む男性との結婚を蹴り引退するまで患者を見守り続けた。
それが仕事だったからだ。
その事に気付いた佐伯は、顔を上げ玄野にして欲しい事を真っすぐに伝えた。
感想
今回は冒頭の佐伯のお話の他、結婚式の友人代行、現場に出る事になった藤野、父親を探る少女みおの四つが描かれました。
四つと言っても並行して様々な事が起こっているので、それだけでは無いのですが。
この作品は便利屋の仕事を描きながらも、テーマは家族や個人が抱えている問題を取り扱っている様に感じます。
あらすじで書いた佐伯は一人で何でもやって来た為、人に頼る事に後ろめたさを感じています。
作中、玄野はビジネスと割り切る事で、佐伯の感じていた物を払拭しました。
佐伯の様に加齢が原因で無くても、何でも自分一人でやろうとする人は結構いる様に思います。
ですが抱え込む事で病んでしまった人も知っています。
頼り過ぎるのも問題だと思いますが、頼らな過ぎるのもまた問題だと感じます。
苦しい時には素直に助けを求める事も大事だと読んでいて思いました。
まとめ
今回は最初に書いた様に柴の過去、彼が何故死を選ぶ事になったのかが描かれました。
二巻ではそれに関する事柄に決着はついていません。
彼がどういった選択をするのか、読むのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はComicWalkerにて一部無料でお読みいただけます。
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